5.7 管路の計画と設計


Q185
管路の計画・設計にあたり、漏水防止対策の視点から配慮すべきことを示してください





  Key words:管路、漏水

 漏水は浄水費用・配水費用など、諸経費をかけた製品がむだに流出してしまうという、水道事業経営上の問題となるばかりでなく、貴重な水資源の損失にもつながるものです。

1.漏水発生要因
 管路からの漏水発生要因を内的要因と外的要因とに大まかに分類すると表1のようになります。

2.漏水要因を考慮した計画、設計
 管路を計画・設計するときには、管の材質・構造や管路の設計などの内的要因だけでなく、将来を見越した外的要因についても十分考慮することが必要です。
(1)適正な管路整備計画の立案
 1)長期的な需給見通しをふまえた管路計画を策定する(継ぎ接ぎ配管はだめ)。
 2)効率的な配管計画として、当初は共用栓を普及し、短い配水管延長で水圧を確保する。
 3)地盤高に応じた高、中、低区といった配水系統の設定と、1配水池1系統化とする。
 4)配水管の機能分けをし、取り出し管路を一定口径以下のものとする。
 5)管路に関する規格を制限する(いろいろなものを使用しない)。
 6)大規模なポンプ、ブースターの設置は避ける(管理費が伴わないおそれがある)。
 7)管理体制を考慮した計画(図面管理、水圧テスト、施工体制、管理要員の養成など)を策定する。
(2)適切な管材の選定
 1)内圧、外圧に耐える強度を有し、かつ経年劣化の少ないもの。
 2)内面および外面の耐食性に優れるもの。
 3)軟弱地盤などへの可撓性のある継手の採用。
(3)管路の使用条件/環境を反映
 1)使用時の水圧、道路の交通荷重の予測、埋設箇所の地盤、土質、地下水位 の把握。
 2)ウォーターハンマーの影響緩和、温度応力の想定、他の管との間隔の適正化。
 3)地震や地盤沈下などによる地盤の変動に耐える管と継手。
 4)曲管部の十分な防護。
 5)良質の埋戻し材料の使用、適正な埋設深度。
(4)水圧の適正化、均等化
 1)減圧弁の設置や弁操作の電動化(その維持管理が容易なこと)。
 2)配水系統のブロック化、ブロック流入点での水圧、流量などの測定機器の設置。
 3)配水池容量の適正化による余裕ある配水管理。
(5)給水管対策
 1)サドル分水栓、割丁字による配水管からの取り出し(必要に応じて防食テープ使用)。
 2)止水栓は交通荷重の少ない宅地内または歩道に設置。
 3)道路に平行して何本も給水管を取り出さない。
 4)メーターボックス内に止水栓設置。
 5)多くの給水管が広い道路を横断する場合は、両側の配水管から分岐し、給水管の延長、継手の数を減らす。
 6)各戸メーター設置の場合のメーターの管理、交換が可能な体制の確認。


3.各国の無効率
 東南アジアと大洋州諸国の各都市の無効率を表2に示します。
 無効率の値から、漏水防止対策の視点からの配慮が重要であることがわかります。

【出 典】
1)小林康彦:ローボー資料(No.90):排水管の破損事故の影響因子.

(鈴木 繁, 家始 健)

表1

表2

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