5.10 水道メーターの設置と保守


Q209
料金徴収とリンクさせたメーター管理制度はどうあるべきですか





  Key words:水道メーター、メーター管理制度、ISO、料金徴収

 水道メーターは使用水量を正しく計量して、使用水量に応じた負担を料金というかたちで使用者に求めるうえで重要な役割を担っています。特に配水量 が増大すればするほど、メーター管理を適正に行うことにより、有収率を向上させ、事業経営の効率化を図ることが大切です。途上国でありがちなメーターによる計量 が正確になされていないといった実態はメーター管理の不十分さによるものであり、使用された水量 は正しく計量され、料金徴収に反映させることのできるものでなければなりません。

〈メーター管理制度のあり方〉
(1)一定の規格、品質を満たしたメーターを設置すること
 設置されたメーターが正確に使用水量を計量しないのでは、メーターを設置した効果 が薄れてしまいます。そのため品質の保証された工場でつくられた一定の規格、品質を満たしたメーターを設置することにより、設置後のトラブルを極力少なくし、維持管理を容易にしなければなりません。ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)などの規格を満たした工場でつくられたメーターに対しては、改めて受け入れ検査を行う必要はありませんが、それ以外の十分でない技術力でつくられたメーターに対しては、改めてメーターの受け入れ検査を実施して品質の保持に努めなければなりません。
(2)個々のメーター管理を適切に行うこと
 現地に設置されたメーターを一括して管理するためには、台帳を用いてメーターを管理することが必要です。具体的には、個々のメーターに番号を刻印し、それをもとに台帳にメーター番号ごとに、設置場所(住所)、設置年月日、有効期間、使用者名などを記録します。そしてメーター使用中は、メーター番号と使用者をリンクさせることにより、使用された水量 を使用者の料金徴収に結びつけ、一方メーターの有効期間をもとに性能の維持に努めます。最近ではコンピューターに台帳の機能をもたせ、効率よくメーターの管理をしています。ともすれば水道事業は普及率の向上、配水量 の拡大といった面が重視されがちですが、効率的な事業運営のためにはメーター管理を適切に行って料金徴収に結びつけることが大切です。
(3)メーター性能の維持に努め使用者の信頼を得ること
 有効期間内にメーターを取り替えて、メーター性能の維持に努め、料金徴収に結びつけることは大切なことですが、さまざまな条件のもとに設置されるメーターは、時として紛失、破損、異常計測、障害物による検針不能など、トラブルがつきものです。このような場合、正常な計量 、検針が可能なように、一定の手続きのもと速やかに代わりのメーターを設置したり、メーターの検査により異常メーターを取り替えるといったことが必要です。常に正しい計量 を行うことは使用者との信頼関係を深めて料金徴収を容易にすることから、この面 での体制整備が必要です。

 メーターの管理は、メーターにより使用水量を正確に計量し、検針が可能な状態を維持することです。このことにより定期的な検針、調定、料金徴収が可能となって事業体の健全な経営も可能となります。メーター技術の向上に伴い長期間にわたる正確な計量 も可能となっていますが、メーターの使用条件はさまざまですので、メーターの設置場所も含めて総合的にメーターの管理制度を充実させることにより、水道メーターの役割を十分に発揮させなければなりません。

(藤本 健夫)

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