2.7 専門家派遣


Q56
専門家にあてがわれたカウンターパートへの、技術移転上の留意点および日常の付き合い上の留意点は何ですか





  Key words:専門家派遣、カウンターパート、技術移転

 カウンターパートへの技術移転上の留意点としては、専門家が派遣分野での総合的な技術力を有していることはもちろんのことですが、「技術移転」は「援助」ではなく「協力」であるとの認識が重要です。すなわち、日本の技術をそのまま導入するのではなく、任国に適した応用技術=適正技術をカウンターパートと協力して開発する姿勢が必要です。そのためにも、カウンターパートとは対等の立場で接することが大切です。
 開発途上国では、多くの援助機関からの協力を受け入れていることから、カウンターパートは経験が豊富で、専門知識はJICA専門家をしのぐこともあります。そのような場合には、彼らに対しては「指導」するという姿勢は厳に慎まなければなりません。
 また、カウンターパートとの日常の付き合い上の留意点としては、異国の地であることを過剰に意識することなく、日本国内での付き合い方に準じた対応が必要です。つまり、仕事の区切りがついたときに一緒に食事に行ったり、家に家族そろって歓待したり、時には相手の慣習に合わせて手づかみで食事するなどの相手の心のなかに飛びこむことも必要です。
 なお、技術移転上および日常の付き合い上の双方に共通していえることは、「相手の立場になって考える」という姿勢です。理解してくれる者には、相手は言葉の壁や民族の違いを超えて助けてくれ、ついてきてもくれます。非常に難しいことではありますが、このような姿勢をとるように心がけることで技術移転も日常の付き合いもスムーズに進み、ひいては専門家活動を充実させることにもつながるのです。

(本多 裕孝)

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