4.2 水道料金制度


Q101
メーターがないため定額料金制としている場合の長所・短所を説明してください





  Key words:水道料金制度、定額料金制、分水

1.事業経営の視点からは問題の多い定額制
 水道を事業として経営する限り、定額制には多くの問題があります。料金制を採用する限り、量 を特定しない売買では適正な原価を反映した料金とはいえないからです。仮に、車両で配送する場合でも、必ず量 り売りになるはずです。
 メーターは計量の手段ですから、他の手段を講じられない場合にのみ、やむをえず定額料金制が採用されることになります。

2.維持管理に重要な役割を果たす従量料金徴収の過程
 定額制では問題が多いのですが、あえて長所をあげるならば、定量生産、定量 供給の実現や、施設貸与のかたちをとる場合、リース業と同様、投資回収が容易なことなどが考えられます。
 ただし、いずれも負担金、分担金や加入金だけで事業を運営するようなかたちしかとれず、短所を補えるものではありません。
 短所は数えきれませんが、大きなものとしては、対価の概念が成り立たず受益に応じた公平が確保できないので、定量 では安定した使用者の確保が望めないのですが、逆に定量以下でなければ、コスト以上の使用による赤字を防げないこと、リース方式はきわめて小規模でしか現実性がなく、より多量 の水道を必要とするところでは無理があること、何よりも、使用量の計量と対価の請求を通 して得られる給配水過程のチェックやマーケティングなど、継続供給の前提となる事業管理情報が得られないこと、などをあげることができます。

3.定額制も考えられる卸売り(分水)
 水道事業として定額制は考えにくいものですし、メーターがなく、供給者が行政であれば、税負担のほうがまだしも合理性があります。
 やむをえず定額制をとるとすれば施設リースに近く、浄水量で供給をコントロールできる分水のような卸売りに近い形態にしたほうがよいでしょう。

(野津 博道)

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