4.2 水道料金制度


Q103
途上国で、政府からの補助金を受けている水道事業では、受益者の公平という視点でどんな問題がありますか





  Key words:水道料金制度、政府からの補助金、自力経営

1.補助金の是非または要否は政策の問題
 途上国に限らず、わが国でも補助金を得ています。水道事業のように国民生活の基盤となる事業では、補助金の活用は望ましい場合も多いのです。そして、その要否、内容や規模は、政策の選択になります。
 したがって、たとえば、全国的な補助金の配分で偏りがあっても、税収による所得の再配分という観点から肯定される場合もあるのですから、簡単に公平を論じられる問題でもありません。

2.需要家全体の負担軽減に役立つ施設整備への補助金
 補助金という名称であるか否かを問わず、無償で供与される資金は補助金と考えることができますが、この意味で、水道事業に助成されるものには、施設整備のためのものと社会政策上のものが考えられます。
 このうち、施設整備への補助は、当該事業の需要家全体の負担軽減に役立ちます。ただし、補助自体は政府など補助者の資力に依存しますので、これへの依存を強めすぎると、打ち切りのダメージが大きくなりますから、あくまでも自力経営をめざしつつ合理的な補助を求める姿勢が大切です。

3.社会政策上の料金負担軽減に必要な補充のための補助金
 社会的弱者に対する合理的救済のため、料金の減額や免除を特定の個人や施設に対して行うことがありますが、このような社会政策上の料金負担の軽減を措置する場合には、これに相当する収入を政府から補充させる必要があります。
 事業者からみれば料金支払者の代替にすぎませんが、政府からみれば、これは補助になるでしょう。名目はともあれ、これは料金徴収の一手段ですから、政策的に打ち切られれば減免も打ち切ることになるでしょう。
 また、給水装置の改善のために補助をする場合は、目的はそれぞれ異なりますし、社会政策上の措置に限りませんが、所有者が自ら負担するところを補助するもので、それ限りの補助になります。

 以上、いずれの場合も補助自体は政策によるもので、対象への公平な取り扱いを確保すれば、他に受益者の公平という問題は少ないと考えられます。

(野津 博道)

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