4.2 水道料金制度


Q107
途上国では水道料金以外の使用者負担金を、どのように設定すれば公平といえますか





  Key words:水道料金、使用者負担金、加入金

1.負担金の性格
 質問の負担金が、どのようなものを想定しているのかはっきりしませんが、水道料金以外のすべての使用者の金銭的負担とすれば広範囲に及ぶことになります。名称も、負担金、分担金、加入金から手数料まで多岐にわたります。
 水道料金以外の名目での金銭的負担を大別すると、施設を利用する給水サービスの対価の一部を、これらの名目で料金から取り出して徴収するものと、給水と直接関係しないサービスの対価を手数料などの名目で徴収するものがあります。
 負担金という場合、通常は前者を指します。したがって、これらは、水道料金そのものの一部ですので、これに含めて徴収することもできます。どちらを選択するかは、積算評価の技術と公平性(同一コストに対する二重徴収の危険があります)から判断することになります。

2.考えがたい公平性の違い
 水道は、施設を使って水を供給する事業ですから、水そのものの販売コストに、浄配水などの施設費用が当然含まれます。負担金、分担金や加入金は、主として施設の建設コストを評価して、他のコストから分離し、水道料金からこれだけを取り出したと考えられる場合が多いでしょう。
 保証金は、水道料金の前払いと考えられる場合が多く、この場合は、給水装置の使用廃止時に清算返済をすることになるでしょう。また、各種の手数料のうち、メーター設置料や徴収手数料など受益するサービスの内容が水の供給に直接かかわるものは、やはり水道料金の一部です。
 これに対し、私有給水装置の受託工事手数料や事業体所有地の賃借料などは、受益するサービスの内容が水の供給から切り離して考えられるものですから、水道料金に含めて徴収することはできません。
 以上、いずれの場合も、コストに基づいて料率を定める限り公平性の違いは考えにくいことになります。逆にいえば、サービスのコストに基づいて料率を定めれば、公平は確保できるということになります。
 ただし、建設コストを、負担金と水道料金本体で明確に区分して評価積算することは必ずしも容易なことではありませんので、二重徴収を避けるために注意をはらう必要があります。

3.必要な社会背景や事情の考察
 水道事業に関する使用者の負担金は、コストに基づいて設定することが自然な成りゆきになりますので、公平の問題はあまり出ないと考えられます。
 仮に、コストに基づかない設定の仕方をすれば問題が出てきます。また、調定、徴収の段階で取り扱いに公平が確保されないとすれば、議論以前の問題です。
 公平性に疑いが出てきたならば、負担金の設定がコストに基づいてなされているか、あるいは何か政策的配慮が加えられていないかを考察する必要があります。設定に問題がないとすれば、運用に問題があると考える必要もあるでしょう。
 途上国の社会背景や事情では、先進国の概念では公平でない取り扱いを当然とする、すなわち公平の概念が異なっている可能性があります。この場合は、この面 での方策を検討する必要があります。

(野津 博道)

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