1.2 水道整備に関連する援助機関とNGO


Q11
水道分野の援助における国連開発計画(UNDP)の役割と特徴を説明してください





  Key words:国連開発計画(UNDP)、UNDP−WORLD BANK Water and Sanitation Program

1.UNDPの概要1)
 UNDP(United Nations Development Programme)は、技術協力のための中心的資金供与機関です。途上国にあるUNDP常駐代表事務所(1994年4月現在131あり、国連関連機関中最大)は、途上国政府と協議のうえで国別 5カ年計画を作成しており、この国別計画に基づき年間5000以上の案件を全世界で実施しています。UNDPは資金配分機能を通 じて国連関連機関による援助の総合調整を行っているうえ、UNDP常駐代表は国連事務総長により国連常駐調整官に任命されています。
 UNDPの援助はすべて贈与であり、相当額のカウンターファンドを拠出すること以外の条件は付けられていません。資金の80%が低所得国に向けられています。UNDPはUNICEFとともに、最も分権化された機構になっており、専門スタッフの半分以上が途上国で勤務しています。
 また、援助調整のために、「ラウンドテーブル」という援助機関会合を開催しています。
 事業は、プロジェクトを基本としています。UNDP自体は、資金を供与し、実施は国連専門機関や受入国に委ねています。したがって、プログラムからプロジェクトに至る全体像を把握して、企画、調整、管理を行います。さらに、業務の遂行にあたっては、駐在事務所が主導的役割を果 たしています。
 UNDPのプロジェクトは、専門家の派遣を中心とするソフト面の協力が中心で、大規模な機材供与はあまり行っていません。また、プロジェクト1件あたりの規模も、1994年実績では、40万ドルまでが全体の36%、40〜70万ドルが20%、70〜100万ドルが14%、100万ドル以上が29%となっています。
 これは、予算の制約という面もありますが、UNDPの協力のフォーカスが、capacity―buildingやinstitution building、また、アップストリームにおける開発政策・プログラムの形成(援助調整を含む)といったソフトの協力にあることにもよります。
 UNDPは最近「持続可能な人的資源開発」(sustainable human development)を目的とし、貧困撲滅、Gender、環境保全およびGovernanceの4つの優先分野に取り組んでいます。UNDPは、国連環境開発会議(UNCED)のフォローアップの一環として、途上国における環境分野の能力育成を目的とした「キャパシティ21計画」を行っています。5カ年ごとの国別 計画を変更し、3カ年のローリング方式を1997年から採用することが決定されています。UNDPは途上国への技術協力にあたり、重点分野の絞り込み、途上国政府による実施(national execution)、NGO・民間部門との連携、プログラムアプローチ、政策レベル・ガヴァナンス支援など上流分野の支援を重視しており、これらを実施するために現場への権限委譲を進めています。

2.環境衛生分野の取り組み
 UNDPのプログラムのなかでの取り組みには、カントリープログラムと、次に述べる世界銀行とのジョイントプログラムの2つがあります。カントリープログラムは、国別 計画のなかでの技術支援サービスに焦点があります。上記の優先分野があるので、マスタープランやフィージビリティスタディは以前ほど重視されていません2)。
 また、世界銀行、HABITATと共同で、Urban Management Programという技術協力プログラムを実施しており、このなかで都市インフラストラクチャー管理、都市環境管理を取り上げています。
 
3.UNDP―WORLD BANK Water and Sanitation Program 3)
 このプログラムは、「国連飲料水供給と衛生の10カ年計画」から生まれた協同イニシアティブです。本部は、世界銀行のWater and Sanitation Divisionに置かれています。5つのRegional Water and Sanitation Groups(RWSGs;アビジャン、ジャカルタ、ラパス、ナイロビ、ニューデリー)がすべてのフィールド活動を管理しています。1995財政年度では28カ国で活動を行いました。技術協力をはじめ多様な活動を行っています。
 予算規模は、1995財政年度で1100万ドルで、UNDPが最大の資金源ですが、二国間援助機関からも拠出されています。

【出 典】
1)外務省経済協力局編:我が国の政府開発援助 (ODA白書 上巻),国際協力推進協会,p358,1995.
2)Preparation of a Manual for the Formulation of Master Plans for the Environmental Sanitation Sector in Developing Countries, assembled by Dieterich BH, JICA, Tokyo, 1995.
3)UNDP―WORLD BANK Water and Sanitation Program, Annual Report July 1994―June 1995, Washington DC, 1995.

(渡辺 泰介)

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