4.3 水道事業の民営化と民活化


Q114
料金収入の増加、有収率向上の面で即効性のある民営化の手法があれば説明してくださいい





  Key words:料金収入の増加、有収率の向上、メータリング、民活化、コンセッション契約、民間委託、リース契約

〈メータリングの実施〉
 水道の経営効率化は、途上国においても先進国においても現在の最大の課題ですが、なかでも料金収入の増加と有収率の向上は重要です。この2つの課題に正面 から取り組むためには、まずはメータリング、すなわち各戸メーターの設置と料金の従量 制を適用する必要があります。
 先進国においてもメータリングを実施していない水道が多数あるといわれていますが、メータリングは需要の抑制とそれに伴う新規設備投資の抑制にきわめて効果 的であり、経営効率化に大きく寄与することが知られています。これは、不法に設置された給水管の取り締まり、料金不払いに対する明確な政策の樹立とあいまって、実行されなければなりません。
 この2つを課題とした民活化には次のようなものが考えられます。まず料金徴収を、効率向上のインセンティブがはたらくような型の契約(一定額請負契約、歩合制報奨契約など)のもとに民間委託することが考えられます。メキシコでは、最終段階でコンセッション契約に移行することを念頭に置いて、とりあえずこの種の契約のもとに民間委託をしようとしています。
 第2は、独占となる末端給水事業のなかで競争を確保するために、給水区域を分割して複数の会社と契約を結び、会社間の経営効率化の実績を数値指標などわかりやすいかたちで住民に情報を開示する手法も考えられます。イギリスの水道会社は、この種の情報が定期的に開示される仕組みになっています。また、途上国でも、マニラの水道においてこのようなアプローチがとられようとしています。
 第3に、この2つの課題に対する目標の達成度を、次期契約更新の条件とすることも考えられます。特に、リース契約やコンセッション契約のように長期にわたる契約においては、この種の指標の達成度を更新条件とすることは必須ではないでしょうか。 (斉藤 博康)

戻る    次へ

コメント・お問合せ