4.3 水道事業の民営化と民活化


Q115
途上国における、民営化・民活化による水道整備資金の調達方法を説明してください





  Key words:民営化、民活化、BOT、デザインビルド、ターンキー、コンセッション契約、アファーマージ契約

〈資金調達の方法〉
 途上国の水道の民営化・民活化は、まず公的セクターで整備資金が調達できないことから始まっていますが、資金調達だけが民営化・民活化の目的でないことはいうまでもありません。このことを念頭に置いたうえで資金調達の方法を分類すると次のようになります。
(1)完全民営化
 完全民営化された場合は、いうまでもなく、計画、建設、管理すべてに会社が責任を負うわけですから、その会社が株式会社であれば、市場を通 じて資金調達を行うというほかはありません。
(2)BOT
 次に、BOTという手法があります。建設(build)して、所有(own)して、しかるべき期間後に移管(transfer)するというものですが、最近では、所有している間、維持管理(operation)もするのだからBOOTだなどといったり、最後に移管してもらうかどうかは今は決めずにその時の話し合いにしようということで、Tを抜いて、BOOなどという概念もできたりしています。最初の建設資金の調達を民間側に任せるのが本来のBOTでしょうが、途上国援助の場合は、援助資金の、途上国政府から民間セクターへの転貸を条件とするプロジェクトをBOTといったりしています。
(3)デザインビルドとターンキー
 デザインビルドとかターンキーという概念は、資金調達の観点から分類された概念ではなく、それぞれ、計画、設計、施工を一括して民間セクターに任せようとか、工事完了後も一定期間、試運転をして、発注者がキーを受け取って、それを回せば(turn)、すぐに運転が可能になるようにしてくれというものですが、この場合は公的セクターが資金調達を行うことが多いようです。また、オペレーションを引き続き行うかどうかについては、それにタッチしないことのほうが多いのではないでしょうか。
(4)コンセッション契約とアファーマージ契約
 フランス、スペインの水道で伝統的に行われているコンセッション契約とアファーマージ契約の違いは、前者が契約期間内の改良工事、拡張工事のための資金を民間セクターが調達するのに対して、後者は一種のリース契約ですから、新規工事については発注者側の公的セクターが責任をもつところです。 (斉藤 博康)

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