1.2 水道整備に関連する援助機関とNGO


Q13
水道分野の援助におけるNGOの役割と特徴を説明してください





  Key words:NGO、広義のNGO、狭義のNGO、先進国NGO、国際NGO、local NGO、経済社会理事会(ECOSOC)

1.開発におけるNGOの類型と役割1)
 NGO(non governmental organization:非政府組織)の意味あいとしては、「非政府」、「自律性/自発性」、「非営利」の3つの要素が固有の特性であるとされています。定義としては、政府機関あるいは政府間の合意で設立された国際機関以外の団体組織(広義のNGO)から、営利団体および住民組織(PO :people’s organization)を除いた団体組織(狭義のNGO)といった考え方があります。
 NGOは政府ベースの開発アプローチと比較すると、草の根レベルの地域住民や地域に対して直接アプローチすることによって、住民の開発ニーズを的確に把握し、柔軟かつ迅速に対応できるといった優位 性を有していますが、反面、組織的な自立性、独立性ゆえに、組織の脆弱性や資金、人材、技術面 の力量不足などの弱さも指摘されています。
 NGOの果たす役割と機能については、開発理論に関する議論の変遷のなかで、@従来のような、政府機関や援助機関による資源・サービスの供与において、これらの機関が対象とするコミュニティレベルにまで入り、資源・サービスを広く住民にいきわたらせるといった機能のみならず、A住民との間に信頼関係を築いて、住民とともに生活状況を細部にわたって調査し、把握する機能、さらにはB地域住民が自主的に資源の運営管理を行うために、利害を調整しつつ、利益を獲得するための住民の意識化や、住民組織の形成を支援する機能に広がってきています。
 さらに、援助機関としての発言力も高めており、国際会議の正式メンバーとなることをはじめ、援助国・国際機関がNGOと協議、協調する機会が多くなっています。
 わが国のNGOの援助実績は、1994年は3億6400万ドルです。援助実績の対ODA比は、DAC諸国平均が10.0%(1993年)、わが国が2.6%(1993年)です2)。

2.NGOの特徴2)
 NGOの活動は、@草の根レベルで地域社会を直接の対象とした開発協力事業を実施、A小規模ながら人道的な必要性の高い事業にきめの細かい対応が可能、B災害や食糧危機などの緊急事態に柔軟かつ迅速な救援活動の実施が可能、といった特徴があります。
 人材・資金のベースの面から、先進国NGO、国際NGO、local NGOがあります。欧米諸国のNGOは、自己調達資金の確保による財政面 および人材面からの強固な基盤を有しています。また、各国政府は、NGOに資金面 での援助を行っており、たとえば、個別案件実施のためにNGOの自己資金に対し一定の割合の政府資金を供与し、NGO主体の案件を実施させる事業(matching or co−financing)制度や、NGOが企画する計画に対し一括助成する包括助成を実施しています。
 また、わが国のNGOの問題点としては次の点が指摘されています3)。
(1)財政基盤の弱さ。
(2)専門知識・技術および人材の不足。
(3)NGO活動推進のための社会制度の未整備。
 また、NGOには、途上国のNGO(local NGO)もあり、援助機関、先進国のNGOとも現地のNGOの育成・活用を重視する方向にあります。

3.国際機関におけるNGOとの協力
 国際機関とNGOの関係は支援というより協力関係である場合が多くあります。国際機関のうち、古くからNGOの役割の重要性を認め、提携・協力活動を提唱してきたのは国連およびその関係機関と考えられます。NGOが、国連関係の重要な会議で、議題提出、文書配布、傍聴発言を行ったり、協議に加わったりできる関係があります。経済社会理事会(ECOSOC)においては、協議資格を有するNGOをカテゴリーT、カテゴリーU、ロスターの3つに分けて、NGOの資格・権利を定めています3)。 

【出 典】
1)国際協力におけるJICAとNGOの連携に関する基礎研究報告書,国際協力事業団国際協力総合研修所,p5―11,1995.
2)外務省経済協力局編:我が国の政府開発援助(ODA白書 上巻),国際協力推進協会,p275―281,1995.
3)わが国NGOに対する支援体制調査,国際協力推進協会,1995.

(渡辺 泰介)

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