5.2 水 源
Q141 天水の効果的利用について説明してください
Key words:水源、天水、屋根貯留、ため池、伏流水貯留、露岩貯留
途上国の村落地域では、住民は近くの河川、井戸、湧水から生活用水を得ていますが、多くの場合、水質が飲料用に適していなかったり、量 的に不十分であったりします。村落給水は近くに良好な地下水源が見い出されることが最も望ましいのですが、水文地質条件のよくないところでは地下水開発は望めません。また遠く離れた水源からパイプラインなどで導水することも考えられますが、一般 に受益者がそれほど多くない村落給水の場合、給水人口に対してコストがかかりすぎて実現するのは容易ではありません。
よって現実的な解決策として、できるだけ村落の近くに給水点を確保することを目的とし、開発可能性のある種々の水源をもとにした給水計画の立案が必要となります。天水の利用はその一つの方法です。ケニアにおける水資源開発では次のような天水利用計画が提案されています。
1.屋根貯留
屋根を利用して降雨を集水する方法。雨どいを通じて家屋のそばに設けられたタンクに雨水を貯留する。
2.小規模ダム(ため池)
小河川にダムを建設し降雨時の河川流出を貯留する。
3.伏流水貯留
(1)地下ダム
河床砂礫層に地中擁壁を設け、上流側に伏流水を貯留する。
(2)サンドダム
不透水層が河床に露呈している地点に数mの高さのダムを建設し、ダム上流側に堆積した土砂のなかに水を貯留する。
4.露岩貯留
露岩地を利用して降雨を集水する。露岩地の最低地点に流出口および貯留施設を設ける。
このような天水利用方法はケニアのような半乾燥地域だけでなく、島国のように安定した河川基底流量 が得られない地域でも採用例がみられます(沖縄の地下ダム、フィジー村落の屋根貯留施設など)。
【参考文献】
1)Republic of Kenya, Ministry of Water Development: The Study on The National Water Master Plan, Sectoral Report(M):Water Resources Development Planning, Japan International Cooperation Agency, Tokyo, July 1992.
(荻野 正之)