5.3 水 質


Q146
水質調査のため、携帯式簡易水質測定器を使用する場合がありますが、使用にあたり認識しておくべきことは何ですか





  Key words:水質調査、携帯式簡易水質測定器

1.携帯式簡易水質測定器について
 途上国における水質測定器は、試験室内に設置される分析用ラボ機器よりも、専門の知識や技術を要しない、設備が小さくてすむ、価格が安いなどの理由から携帯式簡易水質測定器を採用することが多いようです。さらに、その利用面 での最大の特徴は、軽量で機動性に富み、現場で迅速に測定を行うことができる点です。
 この機器の種類としては、
(1)パックテスト(一般試験12項目、金属試験12項目)
(2)pH計(試験紙含む)
(3)濁度・色度計
(4)透視度計
(5)水温計
(6)伝導率計
(7)残留塩素計
(8)一般細菌・大腸菌群試験紙
(9)塩化物試験紙 
(10)DO(溶存酸素)計
などがあります。

2.使用の際の留意点
 携帯式簡易水質測定器を使用する際の留意点として、次のことが考えられます。
(1)試薬類などについて
水質測定器に付属されている試薬類などは有効期限が切れていたり、保存状態が悪く変質して、使用できないケースがあります。そのため、試薬類の保管方法や補充など、測定機器の維持管理について常に適正に保つよう心がける必要があります。
 また、器具類(採水カップ、メスシリンダー、セルなど)の洗浄には十分に注意する必要があり、洗浄用脱イオン水の携行が必要です。
(2)測定精度などについて
 機器によっては測定法が公定法と異なっていたり、定性的かつラフな要素が濃いことから、機器の測定精度・定量 下限を十分理解しておく必要があります。
 表1に簡易水質測定器の測定例として、チューブテスト(パックテスト)の測定範囲と日本の試験方法の定量 下限を主な水質項目について示しますが、一般に低濃度の測定ができないことを認識する必要があります。

(堀尾 豊)

表1

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