5.4 浄水場の計画と設計


Q153
原水貯留池を必要とする条件と、設置の考え方について説明してください





  Key words:原水貯留池、水源の確保

1.必要とする条件
 安定した給水を行うためには、年間を通して計画取水量が確実、かつ安定して取水できる水源を確保することが必要となります。水源として水量 に恵まれた河川や地下水が利用できる場合には貯留池を設置する必要はありません。しかし雨期、乾期により水源の水量 に大きな変動があり取水できないとき、あるいは水利権の関係で取水量に制限があるときには貯留池を設け原水を貯留することがあります。貯留する施設としてはダム、湖沼を利用したものなどがあります。またこれらの貯留池は水道用水のほか治水、農業用水、発電用水などを含めた多目的用として設けられることがあります。
 原水の水質変動が大きいときにいったん原水を貯留し、水質を安定させるために設けられることがあります。

2.設置の考え方
 貯留池を設置する場合の考え方について以下に示します。
(1)渇水時対策として貯留池を設置する場合、その必要容量は渇水時の水量を過去の水源のデータから想定して決定されます。日本では通 常過去10年間のデータから渇水時の水量を決定することとしていますが、途上国ではこれらのデータのないところがあります。その場合でもできるだけ長期間のデータを入手し決定します。
(2)貯留池を設置する場合、水道用として単独で設けるのか、あるいは農業用など他の用途を含めた多目的用として設けるのか、関係各所と調整して決定しなければなりません。
(3)貯留池の容量から設置予定場所を選定します。選定にあたっては地形、地質、周囲環境、建設および維持管理の経済性などについて総合的に調査、検討を行わなければなりません。
(4)貯留池を設置する場所は将来的に汚染の発生がないことを確認します。近隣における工場、畜産場などの建設計画の有無、下水の流入のおそれがないことを事前に調査しなければなりません。
(5)貯留池を建設する地域の自然環境保全法などの規制を受けることがありますので関係省庁に確認する必要があります。

(横尾 弘一郎)

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