5.4 浄水場の計画と設計


Q160
途上国の浄水場における凝集剤および凝集補助剤の選択・使用方法について、計画・設計にあたりわが国の技術者が気をつけるべきことは何ですか





  Key words:浄水場、凝集剤、凝集補助剤

1.凝集剤、凝集補助剤の選定
 凝集剤は浄水場の運転において必要不可欠な薬品です。その選択にあたって考慮すべきポイントは、
 @容易に調達できる
 A安定して供給される
 B安価である
ということです。凝集剤、凝集補助剤を選定するときにはこれらの点を考慮して市場調査を行い選定します。
 途上国のなかにはフィリピンのように高分子凝集剤を凝集補助剤として使用しているところがありますが、日本のように使用を禁止している国もありますので、薬品の選定にあたっては使用制限の有無を事前に確認しなければなりません。

2.使用方法
(1)溶解濃度、不純物対策
 途上国で使用されている固形の硫酸ばんどには不純物が多く含まれています。したがって溶解濃度をあまり上げるとこの不純物が溶液中に増え、配管、ポンプの閉塞の原因になるので溶解濃度の設定にあたっては事前確認が必要です。また梱包用の袋の一部がゴミとして硫酸ばんどと一緒に溶解槽に入るため後段のポンプ、配管などの閉塞の原因になります。この不純物、ゴミを除去するために配管にストレーナーを設けますがすぐに閉塞します。したがって溶解槽から薬品を引き抜く手前でゴミを除去する対策をとる必要があります。また容易に洗浄できるよう洗浄配管を設けます。ポンプも必ず予備機を設けます。設備の設計にあたっては溶解濃度の設定とあわせこれらの対策を考慮しておかなければなりません。
(2)作業性の向上
 硫酸ばんどの溶解作業は毎日のように行われます。したがって倉庫から溶解槽への移動、吊り上げ、搬送するための台車、クレーン、ホイストなどの設備を設置することが望まれます。こういった設備がなく人力で作業を行っている浄水場もありますが、迅速な作業ができず薬品の注入が滞りがちになっていることがあります。また溶解作業時には粉塵が舞い作業環境が悪いので作業者の安全対策(マスク、メガネ、安全着衣など)が必要です。

(横尾 弘一郎)

戻る    次へ

コメント・お問合せ