5.4 浄水場の計画と設計


Q161
途上国の浄水場における、アルカリ剤の選択・使用方法について、計画・設計にあたりわが国の技術者が気をつけるべきことは何ですか





  Key words:浄水場、アルカリ剤

1.アルカリ剤の選定
 途上国ではアルカリ剤として石灰またはソーダ灰が一般的に使用されているようですが、凝集剤同様その選択にあたって考慮すべきポイントは、
 @容易に調達できる
 A安定して供給される
 B安価である
ということです。アルカリ剤を選定するときにはこれらの点を考慮して市場調査を行い選定します。

2.使用方法
(1)溶解濃度、不純物、スケール対策
 途上国で使用されている石灰、ソーダ灰にもやはり不純物が多く含まれています。したがって溶解濃度の設定など設備の設計にあたっては硫酸ばんどと同様な配慮が必要です。特に石灰を使用する場合に注意しなければならないのはスケールの発生です。スケールの閉塞により適正な薬品注入ができなくなるので以下の対策を検討します。
 1)ポンプなどの機器は分解点検の容易な機種を選定する。
 2)できるだけ自然流下を採用した配管ルートとする。
 3)洗浄口を配管の要所に設ける。
(2)作業性の向上
 硫酸ばんどと同様に溶解作業の効率化を図るため、倉庫から溶解槽への移動、吊り上げ、搬送するための台車、クレーン、ホイストなどの設備を設置することが望まれます。また溶解作業時の粉塵対策として作業者の安全対策(マスク、メガネ、安全着衣など)に加え溶解槽にカバーを設置する、ファンで粉塵を吸引するなどの粉塵飛散対策を検討します。

(横尾 弘一郎)

戻る    次へ

コメント・お問合せ