5.4 浄水場の計画と設計


Q164
途上国の浄水場の汚泥処理、排水処理でしばしば起こる問題点と、計画・設計にあたりわが国の技術者が気をつけるべきことは何ですか





  Key words:浄水場、汚泥処理、排水処理

1.汚泥処理、排水処理で起こる問題点
(1)汚泥処理
 途上国における汚泥処理としては河川へそのまま流す方法と汚泥乾燥床を設け乾燥処理する方法があります。それぞれの問題点を以下に示します。
 1)河川へそのまま流した場合、河川および周辺の環境汚染の原因となることがあります。
 2)汚泥乾燥床を設置する場合、雨期、乾期により原水濁度が大きく変動する地域では高濁度時に乾燥床が不足することがあります。また雨期には降雨により十分乾燥できないこともあります。施設の設計にあたって雨期、乾期の乾燥期間の設定が難しく設備が過剰になったり不足することがあります。
 3)汚泥乾燥床からの汚泥の排出作業がすべて人力で手間がかかるため排出が行われていない浄水場があります。
 4)配管口径が小さく汚泥により配管が閉塞しているところが多くあります。
(2)排水処理
 1)ろ過池の逆洗排水などの場内排水をそのまま河川に戻していることが多くありますが、水資源不足の国では再利用が望まれます。
 2)場内排水に凝集剤、石灰などの薬品排液が混入すると配管が閉塞することがあります。また、配管口径が小さく配管が閉塞している浄水場が多くみられます。

2.計画、設計にあたり気をつけること
(1)汚泥処理
 1)汚泥処理に関する現地の法規を調査し汚泥の投棄先、条件などを確認する必要があります。投棄先によっては運搬費を計上するようにしなければなりません。
 2)汚泥乾燥床を計画する場合は建設場所における年間の気象条件(気温、降水量 など)を調査し必要乾燥日数を求めなければなりません。高濁度時に合わせて汚泥乾燥床を計画すると過剰なものになるので十分な検討が必要です。
 3)作業の効率化を図るため汚泥掻き取り用の重機なども設置すべきと思われます。
 4)配管口径は閉塞を考慮しφ150mm以上とすることが望まれます。また清掃用の散水栓も配置する必要があります。
(2)排水処理
 1)水資源の不足している国では場内排水を再利用することを検討する必要があります。
 2)場内排水と薬品の排液の処理を個別に処理するのか一緒に処理するのか検討します。一緒に処理する場合には配管口径、材質に注意します。
 3)配管口径は閉塞を考慮しφ150mm以上とすることが望まれます。また清掃用の散水栓も配置する必要があります。

(横尾 弘一郎)

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