5.6 浄水場の維持管理とリハビリテーション


Q176
無償資金協力により、浄水場のリハビリテーションプロジェクトを実施する場合に、調査の手法を示してください





  Key words:浄水場、無償資金協力、リハビリテーション

 浄水施設のリハビリテーションは同規模施設の新設に比べ計画および実施の検討により多くの手間および時間を必要とします。実質的であり効果 的なリハビリテーション計画の策定に必要な現状調査および実施に対し必要と思われる検討項目を以下に示します。
 現状調査の前段に含まれる浄水場機能診断の手順については、Q175を参照してください。

1.既存施設の現状把握
(1)各施設の建設年度、施設設計仕様および設置機材設計仕様の確認。
(2)施設完成図面(as―built drawings)の確認。
(3)施設プロパティーおよびインベントリー(資産内容・在庫品)リスト作成(データベース利用可能)。
(4)各施設・機器設備の現状把握・分析リスト作成。

2.施設運転記録の分析
(1)浄水生産量の記録および配水量の分析(原水量:配水量比較)。
(2)処理工程使用薬品の種類・量の分析(購入量:使用量の分析)。
(3)使用電力量の記録分析(季節変動、経年変化分析)。
(4)運転従事・担当職員の投入職種および人員の分析。
(5)総合評価・分析(浄水生産原価の分析)。

3.維持管理記録の分析
(1)施設改良・機材取り替え、スペアパーツの交換記録分析。
(2)維持管理経費の分析。
(3)運転中の問題、過去の事故の分析。

4.リハビリテーション対象施設・処理工程項目の抽出
(1)機能低下または不良項目の特定。
(2)過去の対処・対応記録分析。
(3)技術面での対処・対応可能性の検討。

5.実施可能性の技術的評価
 改良および機材取り替えなどの技術的実施可能性を確認(設計を含む)します。

6.リハビリテーション施設・機材コスト算出
 改良事業費、機材取り替えコストなどを算出します。

7.C&B(cost and benefit)比較
 想定される事業費に対する効果の経済比較をします。

8.リハビリテーション実施に対する総合評価
 実施可能性の評価、当該水道事業体におけるリハビリテーションプロジェクトの意義および位 置づけを確認します。

9.参考例
 10万m3/日規模のコンベンショナルタイプ浄水場のリハビリテーション調査における、標準的な技術分野の必要な人・月は以下のとおりです。
(1)水質・水処理技術者:4人・月。
(2)電気・機械技術者:4人・月。
(3)水道システム計画技術者:4人・月。

【参考文献】
1)ASCE:Water Supply System Rehabilitation, p111―163, 1987.

(佐々木照治)

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