5.6 浄水場の維持管理とリハビリテーション


Q181
浄水場のリハビリテーションプロジェクトの調査にあたり、維持管理が適正に行われていたかをチェックする方法を説明してください





  Key words:浄水場、リハビリテーション、維持管理方式

 現行の維持管理方式の調査にあたり検討すべき項目および内容を以下に示します。

1.財務面
(1)施設プロパティーおよびインベントリー(資産内容・在庫品)リストの有無のチェック:各施設使用年数のチェック、スペアパーツ購入記録のチェック。
(2)浄水生産量の記録および配水量の記録(原水量:配水量比較記録)〔過去5年間の記録チェック、浄水量 :配水量効率のチェック〕。
(3)浄水処理工程で使用する薬品の種類・量の記録(購入量:使用量の記録)のチェック〔過去5年間の記録チェック〕。
(4)使用電力量の記録(季節変動使用記録、経年変化使用記録)有無のチェック〔過去5年間の記録チェック〕。
(5)運転従事・担当職員の投入職種および人員の記録チェック〔浄水処理水量 に対する従事職員数の比率(1ユニット浄水量:1m3または1m3/日)生産に要した職員数比率のチェック〕。
(6)総合評価:浄水生産原価の分析。

2.設備・機器面
(1)各施設の建設年度、施設設計仕様および設置機器設計仕様の把握・確認。
(2)施設図面(as―built drawings)の保管状態の確認。
(3)施設リスト保存・修正および補充確認。
(4)施設改良・機材取り替え、スペアパーツの交換記録の保管状態の確認。
(5)施設改良・機材取り替え経費の記録確認。
(6)運転中の問題、過去の事故の記録および対応策の記録確認。

3.組織人材面
(1)維持管理担当職員の従事記録〔過去5年間の調査・分析、浄水生産量との比較〕。
(2)施設運転マニュアルの保管状態の確認および実施状況分析〔施設運転状態のチェック〕。
(3)施設運転記録の保管状態の確認および記録内容の分析〔過去5年間の施設運転記録チェック〕。
(4)浄水生産量の記録および使用薬品の種類・使用量の記録確認および記録内容の分析〔過去5年間の施設運転記録チェック〕。
(5)使用電力の記録保管確認および使用電力料金の分析〔過去5年間の施設運転記録チェック〕。
(6)運転中の問題、過去の事故の分析〔過去5年間の施設運転記録チェック〕。
(7)維持管理記録の分析、施設改良・機材取り替え、スペアパーツの交換記録確認と分析〔過去5年間の施設運転記録チェック〕。
(8)新人訓練・研修および職員教育・研修状況のチェック。

4.運営管理全体
 維持管理業務におけるソフト面である制度・組織・業務実施体制の現状に対するチェックおよび評価が重要であり、特に上記ハード面 と同様に、組織人材を含めた運営・管理のソフト面の下記項目の現状評価および対象事業体に欠けている実施項目を調査しリハビリテーション計画の一部に盛り込むことが必要です。
(1)維持管理記録
(2)維持管理方式の評価
(3)維持管理諸経費の分析
(4)維持管理の総合評価

【参考文献】
1)ASCE:Water Supply System Rehabilitation, p111―163, 1987.

(佐々木照治)

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