5.10 水道メーターの設置と保守


Q206
途上国では、いろいろな国・メーカーのメーターが混在して設置されていますが、このような場合の有効期間の定め方を示してください





  Key words:水道メーター、メーターの有効期間、メーターの計量 精度、ISO

1.有効期間とは 
 国内における水道メーターの検定の有効期間は、計量法により8年と定められています。この有効期間の設定にあたっては、過去の実績、技術の水準、経済性などを考慮して決められたものと思われます。従来の金属メーターの場合は、有効期間が6年であったものが、現在使用されている 水道メーターのほとんどのものがプラスチックメーター(有効期間8年)であることから、平成5年11月に施行された新計量 法においては、水道メーターはすべて有効期間が8年となりました。
 水道メーターの検定有効期間は、メーターの性能保証期間をいうものではなく、この有効期間経過後にさらに継続して使用する場合には、その後の性能を維持するために必ず計量 法で定められた修理を行い、再度検査を受けることを義務づけています。したがって取り引き、証明に使用する水道メーターは有効期間を経過したものの使用が禁じられています。
 国内においては計量法により有効期間が定められていますが、途上国のように日本の計量 法といった法律による有効期間の定めのない場合は、計量精度の水準を確保する観点から、何らかのかたちで有効期間を定めることも必要かと思われます。

2.有効期間の定め方
 大半の先進国でつくられるメーターは、基本的にはISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)に準じた仕様となっていますが、有効期間はそれぞれの使用する国の過去の実績、経済性などを配慮して設定されています。しかし国によっては同じ性能を有するものに対しても、規制の程度によって有効期間が異なる場合も考えられます。また国によっては有効期間を定めず、使用後の計量 精度が維持できなくなったものを、そのつど取り替える方式をとっているところもあります。
 水道メーターの経年変化に伴う使用有効期間を、すべてのメーターに対して一律に定めることは難しく、使用するメーターごとに、@使用実態に近い方法(使用パターン、水質、給水条件など)での耐久試験、A使用中メーターの性能調査(経年別 データ)、Bメーカーの提出データ、C経済性の調査(有収率などを含めたもの)などから総合的に判断し決める必要があります。実際には多種多様な使用条件のなかで、メーターすべてについてデータをとることは不可能と思われます。したがって使用する主なメーターに対し、上記の調査項目のなかから実態に合った方法で設定することが妥当と思われます。この場合、メーターごとの性能、耐久性が大きく異なる場合、メーターごとに有効期間を定める、一定水準以下のものに焦点を絞って有効期間を定める、ISOに準じた性能、耐久性のものであれば、ISO仕様のメーターを使用している先進国の有効期間を参考にして設定するなどその国の実態に合った方法で有効期間を設定することです。 
 いずれにしても、途上国においては、メーターの本来の使命である正しく計量 するといったことができないメーターが、長期間にわたり数多く使用されているといった実態を考えれば、少しでも性能のよい耐久性に富んだメーターを設置して、計量 精度の水準を維持できる範囲内で有効期間を設定し、有効期間内に正しく計量 できるメーターと取り替えることが大切です。

(藤本 健夫)

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