5.10 水道メーターの設置と保守


Q207
メーターの保守、点検整備のため、メーター管理所の設置を要請された場合に援助対象となるのですか





  Key words:水道メーター、メーター管理所

1.メーター管理所の業務
 メーター管理所で行う業務は国内の場合、一般的に@メーターに関しての企画、調査、開発、管理など、Aメーカーからのメーター受け入れ時の検査、B使用中メーターの使用者からの依頼による検査、C有効期間満了、異常などによるメーター取り替え、D簡易なメーター修理などです。
 このうち受け入れ検査については、本来、メーカーにおいて検査したものを、さらに検査し、メーカー検査に誤りはないかという目的で実施されていましたが、現在ではより正確な計量 を維持すること、メーター性能をさらに向上させて有収率の向上に役立てるという目的で、全数もしくは一定数、抜き取りで行われています。
 使用中検査については、25mmまでの小さな口径のメーターは、現地で基準水道メーター(テストメーター)を使用して検査を行い、それ以上の口径のものについては、メーター管理所もしくはメーカーに依頼して行うのが一般 的です。
 メーター取り替え業務は、台帳によって管理されたメーターを有効期間満了前に、計画的に新しく検査に合格したものと取り替えています。そのために保有するメーターの総合的な管理が必要であり、使用中のメーターの管理、使用開始、有効期間満了に伴う取り替え用のメーターの保有、使用して古くなったメーターの修理、取り替えといった業務が必要です。

2.メーター管理所が効率的に機能するための条件
(1)メーカーから納入されるメーターが一定水準以上の品質を満たしていること
 このことによりメーター設置後の計量に関する保守も容易となり、また受け入れ検査が軽減化され、一定数の抜き取り検査でも対応が可能となります。
(2)計量水準を維持するための検査体制があること
 メーター受け入れ時、または使用中のメーターに対して必要なつど、計量水準が確保されているかメーターを検査できる体制がなくてはなりません。またたとえ検査設備がなくても容易にメーカーなどに検査を依頼することができるシステムが確立されていることです。
(3)有効期間内にメーターの取り替えが可能な体制であること
 メーターの計量精度を維持するために、メーターの有効期間を定め、有効期間満了のメーターに対しては取り替えることができる体制が必要です。そのためには、使用数量 に見合った取り替え用の検査済みメーターの保有も必要です。
(4)メーターに関連する業務が効率的に機能していること
 メーターの設置目的は、使用水量を正しく計量し使用者から料金を徴収し、事業を効率的に運営していくことです。そのため検針、調定、料金徴収といった業務が効率よく機能していなければ、いくら精度よく計量 を行っていても、使用水量に見合った料金収入となってきません。

3.メーター管理所の設置を要請された場合の判断基準
 途上国においてメーター管理所の設置を要請された場合、援助対象となるか否かの判断基準は上記のような条件がどの程度満たされているか、または今後の可能性によって判断しなければなりません。メーター管理業務は料金算定のもととなるメーターの管理という事業体にとって重要な業務ですが、仕事の性格は地味で縁の下の力持ちのような存在です。一口にメーター管理といってもさまざまな業務があります。そこで援助対象をメーターの台帳管理の整備、検査体制の確立といった比較的管理を担当する部所のなかだけで改善が進む分野に絞り、段階的に有効期間満了に伴うメーターの取り替え業務といったメーター管理業務全般 に拡大していくことも一つの方法です。

(藤本 健夫)

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