5.10 水道メーターの設置と保守


Q208
途上国でのメーターの検針、使用量の調定、料金請求などの信頼性、問題点などについて説明してください





  Key words:水道メーター、メーター検針

1.メーター検針の信頼性
 メーターの検針は、使用量や料金の調定のもとになるもので、いいかえれば使用量 の調定や料金請求の信頼性は、メーター検針がいかに正確に行われているかにかかっているといえます。メーター検針における正確性は、メーター自体の性能以外に、検針員の読み取りの正確性、記録や計算が正しく行われているかなどが関係してきます。その他には、メーターの設置が検針にとって支障をきたさないようになっていることです。また、誤って検針したり、記入や計算を間違った場合に、それらを見つける、あるいはチェックする管理体制があるかどうかも信頼性を高めるうえで重要な点です。
 日本においては、計量法により8年ごとのメーターの取り替えが義務づけられており、メーターの性能を維持するということとともに、検針の誤りをチェックすることもできます。また、検針員の担当地域を定期的に変えることにより検針の正確性を確保する体制がとられています。さらに、使用者側からも、メーター検査の依頼などのように、メーターの精度や検針に対して使用者自らがチェックできるような制度が設けてあります。検針時において異常水量 を認めた場合、使用者に対してすぐに口頭やメモによる注意をするなどして、検針に対する重要性や信頼を高めるような研修や教育を行っている事業体も少なくありません。
 検針制度や料金の計算などを機械化しても、絶対に誤りがないとはいえません。検針への信頼性を高めるうえで重要なことは、誤りがあった場合、それをいかに早く見つけ、処理していくことができる体制とシステムがあるかどうかです。

2.メーター検針の問題点
 途上国においては、メーター自身の性能は別として、検針員に対して検針の重要性や使用者に対するサービスのあり方などについての研修や教育が十分に行われていない場合が多いようです。また、誤検針、誤記入、誤計算などをチェックする管理体制やマニュアルなども整備されていないのが実状です。
 一方、事業体として、使用者に対してメーター検針の信頼性について理解してもらえるようなPRも必要です。

3.タイにおける検針制度
 タイでは、首都圏水道公社(Metropolitan Waterworks Authority:MWA)と地方水道公社(Provincial Waterworks Authority:PWA)の2つの水道公社が、タイの大部分の水道の供給を行っています。どちらも毎月検針で、検針員は各営業所の職員が行っています。
 検針方法は、MWAについては、大部分の営業所でハンドヘルドという機器を使って行っています。この機器は、一時的にデータを記録するだけで、営業所に戻ってから再度コンピューターに入力し、料金計算を行うものです。PWAでは、検針員がカードを持参して、それに指針や使用水量 を記録し、それをもとに別の職員が料金を計算しています。また、検針票はどちらも使用者に渡していません。ただし、MWAにおいては、異常水量 があった場合、使用者に通知書を渡しています。
 メーターの取り替えについては8年ごとに実施しています。さらに、使用者からの依頼があれば、MWA、PWAともメーター検査を行っています。
検針員の担当区域は、基本的に変わらないようです。年に1回程度、検針員を対象にした、技術向上のための研修を両公社とも開催しています。
以上の情報は、タイ水道技術訓練センタープロジェクト・フェーズ2においてMWA、PWAの営業所を1カ所ずつ訪問した際の、調査事項の結果 を参考にしたものです。これらの情報量は絶対的に少ないので正確性に欠けるところもあります。特にPWAは給水区域が広く、毎年、水道事業体を吸収しており、すべての地域で同じかどうかは疑問が残ります。

(中村 正規)

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