5.11 漏水防止作業と不明水


Q219
メーターの破壊、不法接続、盗水などにどう対処すればよいですか





  Key words:盗水、水道メーター、不法接続

1.途上国では盗水という日本では考えられないことが起こるが、その原因として考えられることは何か
 原因は、2つに大別されると考えられます。第一に財源の問題があります。貧困層では正規に水道利用のための手続きを行い水道管を敷設した場合、規格化された材料を使用するなど工事費が高価になり、水道の利用ができない状況となっています。しかしながら、水道の利便性や渇水期の水の確保という目的で水道管に無断接続し盗水をするケースがみられます。また、財源が恵まれていると思われる工場や店舗などにおいても、経費節減を重視しすぎ盗水を行ったケースもみられます。
 第二に水道事業体の職員のモラルの低さがあげられます。水道メーターの検針に行ってメーターが壊れ検針ができない状態が発見されても、水道使用者から裏金を受け取り、使用量 を少量で認定してしまうケースや、不法接続を発見しても、やはり水道使用者から裏金を受け取り黙認するなどの事例も見つけられます。

2.防止対策案
 日本国内では、不法接続などを防止するため以下の内容で対応しています。
(1)給水の適正を保持するために水道条例を制定して対応しています。給水装置工事の施工に対して横浜市水道条例の主な内容を紹介すると、
 1)給水装置工事の設計および施工は、申し込みにより管理者などの指定する給水代行店が行う。ただし、施工の範囲を定める
 2)メーターは市が設置し、使用者または所有者に保管させるものとする
 3)給水装置を設置しようとする者または給水装置工事を施工しようとする者は、設計についてあらかじめ管理者の審査を受け、施工後直ちに検査を受けなければならない
 4)違反して給水工事を施工した者は、1万円以下の罰金に処する
と記述しています。
(2)水道事業体職員へは、不法な行為を起こしたり、業務への使命感が薄れることがないよう研修などを実施し、不正な業務を行わないよう職員の意識を高揚させるよう対策しています。
 なお、途上国での盗水防止について一例を紹介すると、タイ地方水道公社(PWA)では、盗水を発見すると奨励金を職員に出したり、役職につかせるなど実施しています。

3.不法接続や盗水をどのように発見するのか
 発見の手法は多面から調査する必要があると考えます。以下に方法を記述します。
(1)正規な給水申し込みによりメーターが設置されているか、図面と現地を調査する。
(2)水道使用量の動向を調査し、急に使用量が上昇したり下がったりした場合の理由を使用者から聞く。
(3)新築や増改築を行っていることを確認したら、水道管が敷設されているか調査し、配管が確認された場合は、給水装置工事の申請が提出されているか建築主に確認する。
(4)メーター検針員は、使用量を確認するだけでなくメーター付近の配管状態もあわせて調査し、異常の有無を確認する。
(5)メーター検針簿を定期的に調査を行い、使用量状況を調査し、認定などがあった場合、その理由を確認するなど行う。
 これらのことにより、盗水の発見率は高まると考えます。

【参考文献】
1)横浜市水道例規.

(渋谷 進)

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