5.13 設備・機器の修理とワークショップ


Q235
ワークショップと資機材保管・管理制度を関連させて、あるべき姿を示してください(直営か民間委託か)。また、ワークショップを整備する場合の機能と役割について説明してください





    
    Key words:設備・機器の修理、ワークショップ、住民参加

1.ワークショップ(修理工場)の種類
 管路給水システムが導入され、普及している国々では、修理サービスの産業界がそれなりに存在しています。能力のある水セクター直営のワークショップが外部からの賃仕事を受注している例もあります。ワークショップに関しては、事業規模や国情によって異なるのは当然ですが、大別 すると発生した故障機器の修理を担当するのみの機構と、修理機能を有するとともに予防保全を含め施設の操業も行い恒常的に維持運営の機構内に組み込まれたものとがあります。わが国の協力対象となる給水事業では、中・小事業規模のものが多く、それらに適しているゆえか、後者に成功例が多くみられます。事業規模や国情によりますが、通 常の定期的交換を要するなどの簡易な修理からポンプ羽根車の加工や電動機の捲線替えまで大抵こなせる修理部門を有するものや大物、小物修理はすべて外注へ依存するものなど多様です。

2.機構面からみたワークショップのあり方
 市場経済移行への支援を推進するわが国の協力方針のなかで、ワークショップの直営か民間への委託かは、多くの議論がありますが、対症的な一時しのぎになったりしないためには、いずれの場合でも予算問題とからみ、給水事業の費用回収と不可分の関係にあります。これらが、上述の操業運営制度・機構のなかに有機的に組み込まれることの意義のあるゆえんです。

3.修理・予防保全における住民参加
 かかる給水事業形態の場合には、修理機能をもつ組織は、当然のことながら積極的に予防保全に対応すべきで、そのための受益住民との協力関係は不可欠です。しかしながら、住民にとっては中央はおろか、地方の運営支部へ故障や修理の通 報、連絡すら容易でない実情です。この場合、住民との情報・啓蒙に関する連携をもつことにより、その組織化やそれによる活動は、予防保全や修理費用、部品調達などの積極分担につながり、きわめて有効となっています。このため視聴覚教育機材まで備えて住民組織化に機能するケースもあるほどです。ビデオやスライドが利用できれば好都合ですが、紙芝居やポスターで効果 を上げている水セクターもあります。

4.ワークショップのあるべき姿
 ワークショップの規模内容の設定は、その水セクターの構成要員や給水システムにもよりますが、何でも修理可能になることをめざして各種工作機械をはじめ、過重な設備や機材を導入することは避けるべきです。
 一方、要員の能力や運営予算などもあり、持続的な維持管理の可能な事業体にはそれ相応な所要の仕様の機材提供を積極的に考慮すべきです。広大な地域に散在する給水施設の操業はそれぞれの地点にある運営事務所が行い、修理については、すべて首都にある修理センターに依存するもの、簡易な修理のための地方修理支所を重点配備するものなど、ワークショップのあり方はいろいろです。また、ハンドポンプの交換部品の入手にも困る住民を抱える地方給水事業体と、動力化揚水機を使用し、管路系給水を実施しているケースとでは当然異なります。給水方式、事業規模、地域特性などの背景によって多様であり、一概にワークショップのあり方は決められませんが、それらに応じた機能と役割を明確にして、成果 を得ることは不可能なことではありません。

(高松 幹二)


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