5.13 設備・機器の修理とワークショップ


Q237
途上国では、スペアパーツがないから適正なメンテナンスができないという声をよく聞きますが、どう対応すべきですか。スペアパーツがあれば対応できるのでしょうか




        Key words:設備・機器の修理、スペアパーツ

〈具体的な維持管理のコンセプトづくりが必要〉
「スペアパーツがないために適正なメンテナンスができない」。各国の給水セクターの行政や現場レベルで聞かれる声です。実はスペアパーツ購入のための「資金がない」と、これは同義語といえるケースが多々あります。もちろん、十分ではないがそれなりの資金があっても流通 機構が整備されていないためとか、メーカーの都合で生産中止となっているなどの理由で入手が困難となっている残念な例もあります。事業の形態や施設規模にもよりますが、一般 に途上国の給水事業が直面する日常的な修理問題をこなす一応の技術能力を有する人材を給水セクターはそれなりに擁しています。先進工業国で行われていることと同じような、高望みの要求を満たすことのできない現地側の実状を地元のレベルが低いなどと断ずるのは不見識極まるものです。Q234〜Q237のいずれも、工具やスペアパーツそしてその利用技術などの問題ではなく、要員の数やその配置など制度運営上の事柄をはじめ、これらを支える費用が問題となっているのです。メンテナンス不能の理由がスペアパーツ不足に帰せられることは多々あるにしても、むしろ、それらの購入予算の手当てがなかったり、その原資となる費用回収の手段や制度の欠落が問題です。このため、それらの配慮を含めた具体的な維持管理についてのコンセプトづくりが必要です。完璧とはいえないまでも、途上国でそれなりに機能している多くの給水事業はそれらを基盤としています。

(高松 幹二)


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