5.14 整備の費用


Q239
途上国の水道システムの整備単価について説明してください




        Key words:水道整備、水道設備単価

1.開発途上国の小規模水道

 「国連飲料水供給と衛生の10カ年」プログラムの中間報告書〔参考文献1)参照〕によれば、1980〜1990年の農村・村落レベルの給水のために必要な人口1人あたりの施設整備単価は表1に示すとおりです。
 地域による格差は、水源へのアクセス、給水区域の地形などの自然条件、および浄水処理工程の種類などシステムの適用技術内容により差があるものと、社会経済条件の差によるものと思われます。

2.開発途上国の大・中規模水道
 上述の国連中間報告書によれば、途上国の大・中規模水道(都市水道)の設備投資額は東南アジア地域のやや低い投資のケース(1人あたり55〜60ドル)、そしてこれらや小規模水道施設に比べかなり高い(2〜4倍以上)投資が必要とされる中南米および地中海地域のケース(1人あたり100〜290ドル)のように、地域的な違いがみられます(表2)。
 これらの違いの主な要因は、以下に示す影響項目によるものと思われます。
(1)土工事など建設工事労務単価の違い。
(2)主要資機材、水道用パイプ類、鋼材、浄水機器類、建設機械などは輸入せざるをえないため、建設費総額は高くなる。
(3)一般に資金が足りないため、建設費を高利で借り入れざるをえない。
(4)小規模施設に比べ、都市水道は需要が多いため、良質で安価な浄水を大量 に生産し給水するには自ずと限度がある。したがって、先進技術が求められ、比較的高価な設備およびシステムを建設することになる。
(5)受益対象者の費用負担(水道料金)の支払い能力の違い。
(6)政府補助金出資比率の違い。

【参考文献】
1)国際厚生事業団:水道・廃棄物処理適正技術マニュアル:大・中規模水道編,1988.
2)IDWSSD:Review of Mid―Dicade Progress (December 1985), Geneva, p11―12, 1985.
3)ADB:Water Utilities Data Book:Asian and Pacific Region, Asian Development, Manila, November 1993.

(佐々木照治)

表1

表2

戻る    次へ

コメント・お問合せ