2.4 開発調査


Q31
開発調査のなかに漏水調査(無収水量 調査)を含める場合、どのような内容とすべきですか





  Key words:開発調査、漏水調査、無収水量調査、無収水量 削減計画

1.漏水調査の目的
 「漏水」調査を、ここでは「無収水量」調査(unaccounted―for water survey あるいはUFW survey)と解釈し、管路などから漏れて失われる水量(physical loss)に加えて、実際には使用されていながら料金請求ができない水量(non―physical loss)など、たとえばメーターの不備によるもの、をも対象とします。
 無収水量調査の目的は、対象となる水道事業体の給水量(production)のうち、漏水はどのくらいか、どういう理由で漏れているのか、使用されていながら料金請求できていない水量 はいくらか、どうして料金請求ができないのかを調べることです。料金の請求ができない理由としては、たとえば、メーターの不具合や破損、メーター読み取り作業の不徹底、盗水、料金請求しても軍・警察・政府機関には無視されるといったような問題などです。開発調査の大枠のなかで無収水量 調査を行うのですから、全給水区域を詳細に調査する必要はなく、得られた資料を用い、無収水の原因・傾向から全体のlossを推計します。水道局によっては漏水の概念がまったく違っていたりすることがありますから、まず「漏水」を明確に定義して協議するべきでしょう。

2.調査結果と無収水量削減計画
 調査結果はマスタープラン(M/P)に反映され、M/Pの目標に向けて無収水量 削減のための計画を、費用見積りと実施スケジュールを含めて示さなければなりません。その際、短期的に効果 を上げるためには、連続給水を行っている区域から着手するように計画するべきでしょう。無収水量 対策は技術的要素と非技術的な、いうならば社会的な要素とが絡み合って容易なことではありません。技術的な要素の大きいと考えられる漏水対策にしても、配水管敷設時の不十分なボルト締めや給水管分岐工事の手抜きとか、表面 的には技術的問題でもその底にあるものは安い下請け金額、契約の丸投げ、管種選定に圧力がかかるというような社会的な要素があります。non―physical loss は、技術的には対応が困難なことが多く、その国その国において、非技術的な部分に眼を向けながら、現地で対応しなければなりません。
 普通、長期間にわたる無収水量削減計画はOECF・世界銀行などの、有償資金協力案件の一つとして実施することが妥当であろうと思われます。無収水量 削減は水道事業体の健全経営につながり、漏水防止に効果を上げることができれば浄水場を建設することにも匹敵するといった視点から、融資機関は無収水量 (UFW)対策を積極的に勧めています。

【事例プロジェクト名】
有償資金協力プロジェクト:インドネシア「ジャカルタ市 PAM Jaya System Improvement Project」

【参考文献】
1)World Bank:The Reduction and Control of Unaccounted―for Water:Working Guidelines, World Bank, Washington DC, 1987.

(大村 良樹)

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