2.6 資金協力


Q34
わが国の有償資金協力の対象国の決め方および対象国とする条件について説明してください





  Key words:ODA対象国、DACリスト、有償資金協力

1.ODA対象国(DACリスト)
 わが国に限らず、そもそもどのような国がODAの対象となっているのでしょうか。ODA対象国のリストとして代表的なものに、OECDの下部組織であるDAC(Development Assistance Committee:開発援助委員会)の作成している援助受取国リスト(通 称DACリスト)があります。
 DACリストは表1に示すとおりで、第T部のいわゆるODA対象途上国と、第U部の中東欧および旧ソ連の移行国地域からなり、第T部の途上国は、1人あたりGNP額に応じて、後発開発途上国(LLDC)から高所得国まで5段階に分類されています。
 一般にODAといった場合には、これらの国々が対象国として想定されているといえます。

2.日本のODA対象国
 わが国についてみると、有償資金協力(円借款)の対象となる国や対象国とする条件は、具体的には定められておらず、当該国の経済情勢や案件の性格などを考慮して、弾力的に運用されているのが実情です(Q33参照)。
 ただし、検討の際には、所得水準を一応の目安として、世界銀行の融資基準を参考にしています。1997年度の目安としては、1995年の1人あたりGNP 3035ドル以下、いわゆる低中所得国以下の国が円借款の対象となっています。ただし、後発開発途上国(LLDC)は、基本的に無償資金協力で対応すべきとの方針があり(Q33参照)、実際には低所得国と低中所得国が主な対象国となります。
 また、環境分野におけるODAを積極的に推進する立場から、いわゆる環境案件については、高中所得国(いわゆる中進国)および第U部の移行国も対象としています。

3.水道事業の対象国の実績
 水道事業は、わが国のODAでは、居住環境の改善に資することから、環境案件として取り扱われており、中進国および移行国も含めた広い範囲の国々が対象となります。
 参考までに、これまで水道事業(下水道、衛生施設整備などとの複合事業を含む)に対して、円借款が供与された国(1996年度末までの借款契約締結ベース)は、表1のDACリスト内に示すように34カ国にのぼっています。

【出 典】
1)外務省経済協力局編:我が国の政府開発援助(ODA白書 上巻),国際協力推進協会,p171,p386,1997.

(山本 昌宏)

表1

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