2.5 資金協力


Q35
わが国の有償資金協力の対象国の決め方および対象国とする条件について説明してください





  Key words:有償資金協力、融資条件、環境特別 金利

1.融資条件の考え方
 有償資金協力(円借款)の融資条件には、貸付金利、据置期間、返済期間、調達条件(タイド/アンタイドの別 )がありますが、これらの条件は、案件ごとに、相手国の所得レベルや案件の性格などを考慮して、わが国政府により決定され、政府交換公文(E/N)により両国政府間で公式に合意されます。
 合意された融資条件は、返済完了まで適用されることになり、いったん決定された金利などの条件が途中で変更されることは、原則としてありません。また、世界銀行などの融資条件には、コミットメント手数料が含まれる場合があり、この場合、貸付未実行分の一定割合が手数料として徴収されることになりますが、円借款の融資条件には、このようなコミットメント手数料は含まれません。

2.融資条件の実績
 DACの取りまとめた1994年の平均値でみると、わが国の円借款の融資条件は、金利1.7%、9年間の据置期間を含む29年間の償還となっており、DAC諸国全体の平均値である金利1.8%、9年間の据置期間を含む28年間の償還と比較して、やや有利な条件となっています。
 調達条件については、調達先を日本企業に限定しないアンタイドの融資が100%であり、このうち調達先の制限が一切ない一般 アンタイドが99.0%を占めています。このような条件のもと、日本企業の受注率は27%にとどまっています。
 円借款の1995年度借款契約(L/A)締結案件でみると、個々の案件に対しては表1に示すような融資条件が適用されています。たとえば、わが国の最大の供与国であるインドネシアの案件に対しては、2種類の融資条件が適用されています。通 常の案件に対しては、金利2.5%(ただし、コンサルティングサービス分のコストに対しては2.3%の金利)で、10年間の据置期間を含む30年間の償還という融資条件となっており、また、環境案件に対しては、これより0.2%優遇された金利が適用されています。
 この環境案件に対する優遇金利は環境特別金利と呼ばれ、1995年度の円借款適用金利の改定の際に新たに導入されたものです。これは開発途上国が環境保全に資する案件を実施する場合に、より優遇された条件で円借款による協力を行うもので、環境に対するわが国の積極的な取り組み姿勢を示したものといえます。

【参考文献】
1)外務省経済協力局編:我が国の政府開発援助(ODA白書 上巻),国際協力推進協会,p177―178,1995.
2)海外経済協力基金:年次報告書1996,海外経済協力基金,p17―18,p152―181,1996.
3)海外経済協力基金・開発援助研究所編:海外経済協力便覧(1996),海外経済協力基金,p17―18,1998.
4)海外経済協力基金・開発援助研究所編:海外経済協力便覧(1998),海外経済協力基金,p16,1998.

(山本 昌宏)

表1

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