2.6 人材養成と研修員受入れ


Q44
途上国の人材養成のための協力を系統的に説明してください





  Key words:日本国内グループ研修、日本国内個別 研修、第三国研修、第二国研修、カウンターパート

1.JICAにおける人材養成
 JICAで行われている研修(図1)は、日本国内グループ研修、日本国内個別研修、第三国研修、第二国研修の4つに大きく分けられ、そのなかでさらに細かく細分化されています。
 日本国内グループ研修は次の3つに分けられています。
(1)集団研修
 途上国の共通ニーズをあらかじめ考慮したうえで国内要望調査をもとに研修内容を設定したコース。コース数は約300に及び(上水道コースなど)多様な分野を網羅し、毎年定期的に途上国にオファーされることから、継続的な人づくり面 でのプログラム援助として他の援助機関からの評価も高い。各コースとも定員は1カ国1名を原則としており平均で10名程度。当該分野の技術、知識、ノウハウを体系的に学ぶことができることおよび異なる国、地域から参加する研修員が一堂に会することから、相互に情報を交換して交流を深めるメリットもある。
(2)一般特設コース
 途上国の新たな開発ニーズおよびわが国の援助課題に応えるため設立されるコースで、実施期間を最大5年と定め、そのコースが広く他の途上国にもニーズがあることを確認評価できたものを集団コースへ移行する。
(3)国別・地域別特設コース
 研修員の資格要件をある特定の1カ国あるいは地域に限定し、集団研修として扱うに至っていない国別 の研修ニーズへの重点的な対応を図るコース。
上記(1)(2)は、あらかじめ研修カリキュラムを設定し、多数の国を対象に参加者を募るものであり、(3)は特定の国の要望、実情をふまえたうえでカリキュラムを設定し、研修を行うものです。
 日本国内個別研修は次の4つに分けられています。
(1)個別一般など
 研修の目的や研修の資格要件には何ら制限を設けず、個々の要請に基づき実施する研修。
(2)カウンターパート
 専門家、青年海外協力隊員、開発調査や無償資金協力にかかわる各種調査団などのカウンターパートを日本に受け入れて行う研修。 JICAの各種技術協力事業を、人材育成面から横断的に支援するスキームであるが、カウンターパートへの技術移転は、現地における専門家などによる指導と、日本における研修の相乗効果 によっていっそう効率的に達成される。
(3)国際機関など
 わが国が、国際機関からの要請に基づき実施する日本での受入れ研修。この場合、研修の実施に要する諸経費のうち、相手側の機関が渡航費、滞在費などを負担する方式と、全額をわが国が負担して行われる方式がある。前者には、WHO、IAEA(国際原子力機関)などの国際的な大規模機関があり渡航費、滞在費を負担している。その他多くの地域レベルのものは、わが国で全額負担している。
(4)民間技能者カウンターパート
 JICA派遣事業部が所管する民間専門家のカウンターパートを対象とした日本受入れ研修で、研修に要する費用はJICAと(財)海外職業訓練協会(OVTA)が分担して負担する。
 最後に第二・第三国研修ですが、前者は日本の技術協力により培われた途上国の人材を通 じて、当該技術を、より現地の実情に沿ったかたちで地方に普及・定着させるための研修であり、後者は、日本が途上国に移転した技術を、当該途上国を通 じて周辺国に移転・普及させるための研修です。 

2.その他の現状
(1)国際厚生事業団(JICWELS)
 厚生省委託事業として平成元年より毎年、途上国の水道行政官5名に対し、水道技術および援助システムなどを紹介する研修を行っている。
(2)(社)日本水道協会
 JICAからの受託のほか、国際水道協会(IWSA)関係および直接のコンタクトも随時受け入れている。
(3)水道事業体
 JICAからの受託のほか、姉妹都市などからの研修員を受け入れている横浜市、札幌市、大阪市、名古屋市、北九州市などがある。

【参考文献】
1)技術研修員受入の手引き,国際協力事業団研修事業部,1997.
2)JICWELS,国際厚生事業団.

(斉藤 博康)

図1

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