2.6 人材養成と研修員受入れ


Q51
個別専門家チーム派遣は、どのような条件がそろえば実施の可能性がありますか





  Key words:個別専門家チーム派遣

1.個別専門家チーム派遣とは
 近年、途上国からの要請内容も多様化しており、従来の個別専門家、またはプロジェクト方式技術協力で十分対応できない小型のプロジェクト要請が増大してきました。
JICAではこれらのニーズに対応するために、昭和62年度から個別専門家をグループとして派遣し、機材費、現地活動費を支援する 「チーム派遣」 制度を試行してきました。この経緯をふまえて平成元年度から「ミニプロジェクト事業」として基本的枠組みを整え発足しました。 その後、平成 8 年度からはミニプロジェクトの呼称を改めて「個別専門家チーム派遣」と統一することとなりました。
 その定義は、「プロジェクト方式技術協力と個別専門家による技術協力の中間形態として、複数の専門家(チーム派遣)を協力の核とし、小規模の機材供与(開発支援機材)、およびカウンターパートの本邦研修を必要に応じ有機的に組み合わせて実施するわが国技術協力の一形態」です。

2.実施の条件
(1)協力期間
 原則として3年間。ただし、3年を超える協力は行わない。
(2)協力内容および規模
 1)目標達成をめざした計画的な専門家の派遣を協力の核とし、さらに協力にあたっては研修員受入れならびに機材供与を必要に応じ有機的に組み合わせて実施する。
 2)専門家派遣人数は年間4〜6名程度(長期1〜2名、短期3〜4名)。
 3)研修生受入人数は必要な場合、年間1〜2名程度。
 4)機材および現地業務費は、必要な場合申請によりおのおの定められた限度で供与する。
(3)実施手続き
 1)案件の発掘は、個別専門家派遣事業にかかる要望調査時に在外公館およびJICA事務所にて実施する。
 2)案件の決定は、関係機関と協議のうえ、年度計画策定時に予算ならびに地域バランスを勘案しつつ新規協力案件を決定する。
 3)事業計画の具体的協力内容の策定にあたっては、在外公館またはJICA事務所を通 じて先方と協議する。また、必要に応じて事前調査団を本邦より派遣して協議する。
 4)上記3)で策定された協力計画につき、関係者(調査団、JICA事務所)と相手国側実施機関との間で、それぞれの政府に対する提言として協議議事録(R/D)を締結する。
 5)R/Dにおける提言の主旨に沿って両国政府は必要な措置をとるが、実際の専門家派遣、研修員受入れなどにあたっては、先方政府よりA1〜A4フォームなどによる正式要請書の提出が必要となる。

【事例プロジェクト名】
フィリピン「チーム派遣(無収水低減化対策)」(首都圏上下水道庁)

【参考文献】
1)国際協力事業団派遣事業部:ミニプロ事業の手引,国際協力事業団,1990.
2)国際協力事業団派遣事業部:個別派遣専門家実務の知識,国際協力事業団,1993.

(石田 寅三)

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