候補者はのみならず、指導者に質問したり、「分からない」と申し出ることは勇気がいることですので、それほど多くは見られません。本当に分かっていて質問をしない場合もありますが、「質問をすることが分からない」というのが実態でしょう。また、文化の違いから、指導者に対して「分からない」といったり質問することは「失礼」と感じたり、自己肯定感を低下させると感じたりしているかもしれません。そのため、こちらから理解度を確認する働きかけをすることは有効です。
具体的には、小テストの実施や口頭試問がよいです。この時、注意が必要なのは、モチベーションを低下させないように、小テストや口頭試問の内容は、簡単な問題を含めながら達成感を感じさせることです。公文式のように類似問題を繰り返し出題したり、その日やその週に学習した内容を出題することで、早期に確認作業をするのが効率的です。しかしこれは、指導者が専属でおり、候補者の学習状況を充分に把握できる環境にあることが前提条件です。実際には、このような条件が整わない施設が多いと思いますので、学習計画を立案する際に、予め小テストや口頭試問などの評価日を決めておき、評価内容は事前課題として与えて学習させる方法が良いです。理解度の確認は、候補者にとっても学習の進捗を確認できるため振り返りや学習計画の見直しには大変有効です。また、しっかりと手をかけて貰っているという安心感にも繋がると思います。しかし、プライドから指導者に評価されることを嫌い、指導者との関係を絶とうとする候補者がいるかもしれません。そのような場合には、候補者自身に評価方法を提案して貰うのがよいです。スモールステップ法による週単位の確認も必要ですが、年3回実施する模擬試験を活用する方法もあります。候補者の学習状況に合わせて、評価の周期を調整するのがよいです。
理解度の確認は、あくまでも候補者の振り返りに活用することが目的であることを、候補者自身が充分に認識できないとうまくいきません。まずは、学習の振り返りとして、理解度の確認が必要であることを伝えて、確認・評価方法を相談することから始めるのがよいです。