学習レベルの差が大きい候補者の集団指導場面でよく見られる悩みです。
日本の看護師養成校等では、「国家試験全員合格」「国家試験合格率100%」を合い言葉に、連帯感を強めながら団結力でモチベーションを高める教育手法をとることが多くあります。しかし、このような連帯感や、これに伴う連帯責任の考え方や風潮は、日本独特な現象のようです。
しかし、同じ陣で入国した候補者達は、連絡をとって励まし合っているようですので、これらの感情をうまく活用すると、効果的な学習に繋がるかもしれません。友人の学習指導を行うことへの思いは、各候補者で違いがありますので、個別面談等で意思を確認するのが良いでしょう。
施設内での研修は、個別指導や自己学習が中心となるでしょう。国家試験 対策学習の基本は、要点の暗記学習です。要点の理解には母国語での理解を 促していますので、候補者同士での学習支援により、要点理解が進むようで あれば、効果的な学習です。しかし、暗記を中心とした学習では、個別の学習 時間を確保することが効果的です。
また、出身国が異なる候補者間では、共に教え合う学習支援は、混乱を招く 恐れがありますので、注意が必要です。
成人学習の視点からは、指導者に質問があった項目は、指導者がしっかりと候補者に向きあって、個別性を配慮した指導をすることが重要です。指導者に質問できず、友人に質問をする場合には、指導者に質問できるような環境や方法を工夫する必要があります。
何らかの理由で、指導者に質問することに抵抗感を示す場合には、JICWELSのe-ラーニングから「学習相談」を活用する方法を候補者に提示するのも良いでしょう。