学習時間が多いのに、成果に繋がらない場合の理由はいくつかありますが、ここでは、学習方法についてお答えします。
「日本語がうまく理解できない」ことが影響しているようですね。
国家試験対策では、学習習熟度に合わせた学習方法や学習内容が最も重要ですが、合格者ノートからも分かるように、母国語での理解が効果的です。重要項目を母国語に翻訳したノートを作り、日本語と対比させて覚える学習を試してください。問題演習も同様に翻訳してから、日本語と対比させる方法が、理解を深めると思います。
看護師国家試験は、看護専門知識を問うものです。
しかし候補者にとっては外国語としての日本語による受験になりますし、母国では有資格者であるという自負から、どうしても看護専門知識の学習よりも、日本語学習を優先しがちです。
そこで、看護師国家試験の趣旨を正しく理解させ、既に忘れていることの復習や、これまで学習してこなかった看護専門知識の習得を優先させることが重要です。
母国との文化や環境の違いから、母国で学習した内容との違いに戸惑うことも多いはずです。看護技術などでは、必要物品や手順などの覚え直しをすればよいですが、看護師の役割や看護倫理の側面では、日本での考え方をしっかりと理解してもらうことが必要になります。
日本人として当たり前に考えていたことも、異文化では常識ではないことを充分に理解し、日本文化の背景を理解してもらうことが重要です。
また、倫理的側面においては、日本人にとってはそれほど難しく感じることのない「~させる」「~やらせる」という強制的な表現と、「~させてもらう(いただく)」「~やらせてもらう(いただく)」という受動的な表現の違いなどは、候補者が感覚的に理解するのは難しいでしょう。
これらの言い回しを、敬語学習を含め、文法的に正しく理解しようとすると、本来優先すべき看護専門知識の学習が疎かになりがちです。
日本語学習とは切り離して、看護専門知識を日本語のニュアンス等を含めて、母国語でしっかりと理解することが先決です。