精神看護学領域の学習は、日本人学生にとっても難しいと感じることが 多い領域です。その理由は、幻覚・妄想等、健常者では共感や了解ができにくい事柄が多いからです。しかし、それとは裏腹に得点しやすい領域の1つでもあります。
臨床場面での現実は、患者により千差万別の訴えや症状が見られ、教科書にあるような典型的な訴えや症状は、極わずかな一面に過ぎません。
そのため、試験問題では、教科書にあるような、典型的な訴えや症状を用いた代表的な症例が出題されます。キーワードとなる典型的な訴えや症状を用いないと、不適切問題となりやすいのが、精神看護学領域の問題の特徴です。
そこで有効な学習方法は、症例のパターンによる特徴の理解と暗記です。
精神疾患では、病因不明の疾患も複数見られ、確定診断や治療方針の決定はとても難しいです。看護師国家試験では、看護過程の展開に必要なアセスメントや看護ケアに関する出題が中心です。
そのため、典型的な症例患者に対する症状の看護と、疾患別の標準看護計画に基づく看護ケアについて学習するのが良いです。また、疾患毎の代表的な エピソードは、過去問題の状況設定問題演習を行うとよく分かります。
国家試験対策の学習では、全てを理解しようとするのではなく、その疾患や症状がもつ特徴のみに焦点をあてる方法が良いです。疾患や症状に対する看護の原則を、他の疾患や症状と鑑別・区別して提供するために必要な知識が重要となります。精神看護学の国家試験対策では、特に、疾病・症状・治療・看護等について、類似点と相違点に着目して学習すると効果的です。
近年では、社会復帰支援に関する社会資源の出題が多く見られます。社会 資源は、類似用語が多くありますので、出題基準の小項目をキーワードとした頻出項目に着目して学習すると良いです。
精神看護学の状況設定問題は、症例パターンに対応した看護の原則を、 暗記することで得点しやすい科目と位置づけ、苦手意識をもつことなく学習を進められるようにすると良いでしょう。