日本語能力は身につきつつあるのに、なかなか点数が伸びません。どのように指導すると良いでしょうか。

看護師国家試験対策の原則を、もう一度確認してみましょう。
看護師国家試験は、新人看護師として就労するに際して、獲得しておか なければならない、必要最低限の看護専門知識を問うものです。つまり、必要最低限の知識を獲得していない者は、看護師資格が取得できず、名称 独占・業務独占である「看護師」として就労できないことになります。
これらの看護専門知識の獲得には、必ずしも日本語能力が必要と言うことではありません。勿論、一定水準の日本語能力を獲得していると学習が円滑に進むことは事実です。しかし、EPA看護師候補者(以下、「候補者」とします。)には、特定活動として在留できる期間は限られており、看護師国家試験の受験回数は3年間で3回です。延長条件を満たし、滞在期間延長を認められた場合でも、入国から4年間で4回の受験機会しかありません。この中で、最低限の看護専門知識を日本語で獲得しなければなりません。
このような状況で、十分な日本語学習を終えてから、看護専門知識の学習に移行する方法は、大変効率が悪くなります。したがって、優先すべきは看護専門知識の獲得に向けた学習です。
中でも、看護師国家試験合格に必要な、看護専門知識の獲得には効果的な 学習方法があります。頻出テーマの重要項目を中心とした要点学習を十分に 行うことです。この際、要点を母国語でしっかりと理解することを優先し、その上で、日本語と対比させながら理解を進めるのです。
日常会話で必要な日本語能力と、看護専門知識の獲得に必要な日本語能力は大きく異なります。また、日本語を母国語とする日本人であっても、約1割程度が不合格になるのですから、看護師国家試験合格に必要な能力は、「日本語」ではないことは明らかです。
看護師国家試験対策に必要な学習方法を再確認して、候補者の個別性を 配慮した学習計画を立案するのが良いでしょう。