この2つの資格取得は目的が異なります。
日本において留学生や在日外国人が日本語能力検定を受検する者は多くいます。日本語能力資格の取得理由は、就職に必要であることが多いようです。N2またはN1取得が日本での就職条件になっている企業も複数あるそうです。しかし、候補者は既に受け入れ施設にて従業しているので、入国している候補者の就業条件として日本語能力資格は必要ないことになります。
しかし、候補者が正看護師として日本で就業するためには、看護師国家資格の取得が必須になります。単純に資格取得の必要性の有無で検討すると、看護師国家資格の取得を優先するのが常道です。
JICWELSの外国人看護師候補者学習支援事業の目的は、日本において看護師国家試験に合格し、EPA看護師として日本の医療施設に長く勤務することを支援するものです。この趣旨からすると、決められた年月で看護師国家資格を取得し、就業し続けるために、日本語能力を高めた上で看護専門知識をつけるのが得策か、看護専門知識を優先させ日本語能力を後回しにするのが得策か、どちらの策を選択するかの問題になります。
日本語能力の獲得は就業上では不可欠です。そのため、日本語能力資格を優先させたい旨は了解できます。しかし、N2資格取得により日本語の語彙が増え、日本語文法を理解できても、看護専門知識を問う看護師国家試験の合格に直接的に結びつかないことは、これまでの実績からも明らかです。
看護師国家試験の受験は3回限りです。しかも、就労後の学習時間を鑑みると、受験機会は実質2回と言っても過言ではありません。その機会に確実な合格を目指すためには、学習できる時間を全て看護専門知識の学習に費やしても足りません。
そのため、国家試験専門家の意見としては、看護師国家資格取得のためには日本語能力検定の学習よりも、看護師国家試験対策の学習を優先し、少しでも早く看護師国家試験合格を達成して欲しいと思います。
「二兎を追う者は一兎をも得ず」というように、2つの目標を達成することは大変困難です。候補者とよく相談して、優先順位を決めて下さい。