法律や社会保障制度の学習は、EPA候補者にとっては、日本人学生以上に難しく感じることと思います。国家試験では「必修問題」と「健康支援と社会保障制度」で出題されます。
「必修問題」の範囲として、出題基準の「目標Ⅰ・Ⅱ」に該当し、毎年10問程度出題されていますが、頻出項目は絞られており、難易度も低いため苦になりません。心配の種は一般問題ですが、例年10~12問程度のため、いわゆる「捨てる科目」になります。それでも、頻出項目である「介護保険法」や「保健師助産師看護師法」「精神保健福祉法」などの学習は、関連科目である「在宅看護論」「基礎看護学」「精神看護学」の科目で学習します。この時の学習項目は、「健康支援と社会保障制度」の出題基準における小項目をキーワードとして、要点学習をします。
候補者の様な成人教育学習で陥りやすいのが、「自分の興味関心を優先する」という点です。候補者は、これまで学習していない日本の法律や社会制度について、強い関心がみられます。特に、日本での生活に必要な情報と、その延長線上の「健康支援と社会保障制度」の学習は、学習の優先度が高くなってしまいます。しかし、国家試験対策の学習では、限られた時間を有効活用するために学習の優先順位を決める上で、多少のテクニックを用います。それが「捨てる科目」の考え方です。
看護師国家試験対策では、圧倒的に看護専門領域の配点が多くなっています。また看護専門領域では、出題基準の範囲や頻出項目はかなり絞られている観があります。そこで、頻出項目や頻出テーマを確認し、優先的に学習するのが良いです。
看護基礎教育で基本となる「人体の構造と機能」「疾病の成り立ちと回復の促進」を、日本語でしっかりと学習する事を優先すると、逆に短期間での合格は難しくなります。平成30年版出題基準では、「成人看護学」と連動するように構成され、疾患名等も提示されています。解剖生理学は「成人看護学」の中で、看護専門知識の学習と一緒に行うことが有効です。
このように、国家試験対策としての学習には、優先順位があります。
従って、ここではひとまず、「法律や社会保障制度の理解」は止めておいて、看護専門科目の学習を優先させるのが良いです。