適切な学習教材はどのようなものでしょうか。

学習教材の選定は、候補者の学習習熟度により異なります。
入国間もない候補者は、母国語のテキストが最適ですので、母国で看護師資格を取得するときに使用したテキストや、母国の看護学生が使用しているテキストを取り寄せるのが一番よいです。「日本の看護師国家試験を受験するのだから、日本語での理解が不可欠だ。そのためには日本語能力の獲得が優先だ。」という先入観が禁物です。日本においても看護師資格取得後、数年を経過した看護師が、何の受験対策もせずに看護師国家試験を受けた場合、必ずしも合格できるとは限りません。国家試験対策は、従事している臨床業務で用いる専門的知識とは異なることも多く、出題範囲も多岐にわたります。そのため受験する看護学生同様の、対策学習が必要となります。
つまり、国家試験対策には、出題基準を踏まえた看護専門知識の学習が不可欠であるということです。この看護専門知識の学習は、必ずしも日本語で行う必要はありません。これまで習得した知識の復習や再確認は母国語で充分です。これまでに学習していない、日本独特の科目は、十分に理解するためには母国語で書かれた本や資料を参考にするのが良いです。翻訳アプリ等を使って、インターネットの資料を活用することも有効です。
母国語で必要最低限の理解ができたら、日本語で書かれた教材を用いた学習に移ります。日本語の国試対策本は、長文でかかれた物より、短文で書かれたシンプルな物が学習しやすいと思われます。本人が書店で手にとって目で見て確認し、分かりやすい物を選ぶのが一番良いです。看護基礎教育で使うテキストと、国家試験対策で使うテキストは全く別物です。ポイントが絞られた薄い物を、使い込むことが重要です。集合研修テキストは、頻出項目を厳選してまとめていますので、初級者が用いるのには良いと思います。
中級者は、要点を学習できる参考書と、問題演習のための問題集の2点が必要です。この2つの機能が一緒になっているのが、学研チャレンジテストの「解答・解説書」です。「ワンポイントアドバイス」で要点学習をして、問題演習を解き、解説を理解する学習を、繰り返すことで理解が深まります。模擬試験問題は頻出テーマで構成されていますので、3回分をしっかり復習すると効果があります。新しい教材を用いるよりも、見慣れた教材を繰り返し学習する方が、日本語が不得意な候補者にとっては有効です。