2025年12月19日
株式会社マザーズ NEXUS池花 WEBサイト
- 施設種別:グループホーム(共同生活援助)
- 所在地:愛知県名古屋市
- 事業所内の外国人職員:計4名(2025年7月時点)
株式会社マザーズは、高齢者グループホーム、障害者グループホームなどをはじめとした様々な福祉サービスを提供している会社です。海外マーケットを視野に入れ情報収集を開始し、その後外国人材の受入れを本格的にスタートしました。現在は技能実習と特定技能の両制度で受入れをされていますが、今後は特定技能制度での受入れを中心に進めていく予定とのことです。
外国人職員数の増加により、2024年11月には「グローバル推進部」を職員2名で発足させました。定期的な研修の開催や、公用語や母国語の伝わるマニュアルの作成など、施設や登録支援機関とも協力しながらきめ細かな支援を実施されています。この動画では「グローバル推進部」の取り組みや支援の内容などについてお話を伺いました。
※取材日:2025年7月14日・15日
目次
- Pick up
- 担当者インタビュー(前編) ~グローバル推進部・現在の支援状況について~
- 担当者インタビュー(後編) ~介護福祉士国家試験・定着への取り組み~
- 外国人職員インタビュー ~カルキさん(ネパール出身)・ラトゥルさん(バングラデシュ出身)~
– Pick Up –
“外国人職員の頑張りに応えたいという気持ちから、「グローバル推進部」を発足”
“こども食堂など地域との交流・活動を通し、地域との共生を実現したい”
“外国人職員のキャリアアップ、定着に向けた取り組み”
【前編】グローバル推進部・現在の支援状況について
〈インタビューを受けてくださった方〉
- 人事本部 グローバル推進部 部長 鈴木 様
- 人事本部 グローバル推進部 プスパ 様
Q. 特定技能制度での受入れを始めた経緯を教えてください。
鈴木様(以下、敬称略):以前より会社の方針として海外マーケットを視野に入れて動いていて、海外進出や外国人職員の受入れの情報収集をしていました。海外進出はコロナの影響もありストップしましたが、人材不足という点からも、外国人職員の受入れを考えなければいけないというタイミングで、ラトゥルさんとカルキさんが、登録支援機関と一緒に施設のオープニングスタッフ募集の説明会に来てくれました。そこから意識的に外国人職員の受入れをスタートしました。
Q. 2024年に新たに発足した「グローバル推進部」について教えてください。
鈴木:ラトゥルさん、カルキさんの入職から約2年が経過した2024年11月に「グローバル推進部」を発足させました。職員2名で発足し、現在は3名体制です。それまでは採用担当が日本人も含めた全ての職員を管理していましたが、施設数も多く、外国人職員の人数も増えてきたところで、きめ細かな対応を行うことが難しい状況にありました。「グローバル推進部」では、これまで苦労していた課題に対して、上手く対応できる仕組みづくりに取り組んでいます。
Q.「グローバル推進部」では具体的にどのようなことをしていますか。
鈴木:例えば、受入れ当初は掃除の仕方など1つ1つの業務のマニュアルがなく、現場から「伝わるマニュアルを準備できていればよかった」という声が上がりました。現在は「グローバル推進部」で公用語や母国語の伝わるマニュアルを作成し、現場で活用しています。マニュアルにはイラストをつけて分かりやすくするなど、様々な工夫をしています。
入国前の面接や受入れ準備、定期的な面談、定期的な研修などを行っています。定期的な研修は、会社内の特定技能外国人と技能実習生約30名を一斉に集めて、年に3回実施しています。内容は、交通ルールやごみの出し方、米や油などを母国通貨で置き換えた価格の説明、在留資格「介護」を取得するまでの介護職員初任者研修・介護福祉士実務者研修・介護福祉士国家試験までの流れ、会社の方針などです。研修後は、懇親会を行い日本人も交えた職員同士の交流を深めています。
また、研修の取り組みで、新人職員は『日本を選んだ理由』、先輩職員は『介護の基礎知識』を、日本語で2分程度発表するスピーチコンテストを実施しています。「日本語レベル」「声の大きさ」「意味がわかったか」を外国人職員同士が採点し、1位・2位の職員を表彰し、賞品としてお米、ペン、日常で使用するラップを懇親会で渡しました。他の職員のスピーチを聞くことで日本語学習のモチベーションアップに繋がったり、事前の練習に施設長が付き合うなど、良い関係作りにも繋がったりしています。
Q. 登録支援機関はどのように活用していますか。
鈴木:施設は、現場での就業面や日々の学習のサポートをしています。
登録支援機関には、採用と、事前ガイダンスや出入国時の送迎、学習面では介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修などの資格取得に関する部分を主にサポートしてもらっています。今後は、登録支援機関を利用せず全て自社で支援を行うことも視野に入れていますが、海外での採用に関しては、現地とのネットワークがない点に課題を感じています。現地採用の体制が整えば、将来的には自社での内製化を目指したいと考えています。
Q. 配属先を決めるにあたりどのような配慮をしていますか。
鈴木:自宅や寮からの距離や、同じ国籍の先輩がいるかという点を配慮しています。同じ国籍の先輩がいると安心すると思いますし、経験を積んだ先輩が後輩に教えて、(教えてもらったことを)後輩がその後輩につなげる流れができると良いと考えています。
高齢者施設・障害者施設など、施設の種別に関しては、入ってみないと向き不向きが分からないため、入口のところでの選別は特にしていません。
Q. 障害者施設での就労にあたり、どのような点を意識して指導していますか。
プスパ様(以下、敬称略):高齢者の介護は、外国人職員もイメージがついている場合が多く、認知症に対する理解や、利用者に合った声のかけ方、身体の使い方などのOJTに力を入れます。一方で、障害者の支援は、障害の種類も利用者によって様々なので、その特性や声かけ、利用者の個々の目標やそれに対する支援、施設が担っている仕組みなどを伝えています。
Q. 外国人職員に対してどのような想いを持っていますか。
プスパ:外国人職員たちは、会社として欠かせない役割を担ってくれていますし、本人たちの頑張りや貢献力は本当にすごいと感じています。それにきちんと応えたい、還元したいという気持ちがあります。
【後編】介護福祉士国家試験・定着への取り組み
Q. 受入れ当初と現在で、外国人職員の役割や指導方針に変化はありましたか。
プスパ:最初は現場を回してもらう一員として指導をしていましたが、現在は先輩として後輩を教育してもらい、定着に貢献してもらえるような役割を担ってほしいという考えに変わりました。実際に、現在ラトゥルさんはフロアリーダーとして管理者を支える立場となっており、同じバングラデシュ出身の後輩も入職して、業務面でも生活面でも良い先輩としてサポートしてくれています。
Q. ラトゥルさんにフロアリーダーを任せた経緯を教えてください。
プスパ:会社内で新たにフロアリーダーという役割ができ、そのタイミングからラトゥルさんもフロアリーダーを担ってもらっています。経験の多い他の日本人職員もおり、外国人職員がリーダーになることに反対意見が出るのではないかという不安もありましたが、日頃の就業の様子からも反対意見はありませんでした。本人も責任感があり、リーダーを任されたことにより、色々なことをやってみたいという提案や、「こういう風にしたほうが良い」という発言も出てきました。
Q. カルキさんは就業開始当時からどのような成長を見せていますか。
プスパ:カルキさんは、最初は何を聞いても「大丈夫です。」しか返ってこなかったですが、今は「施設のここをもっとこうしたい」という意見を伝えてくるようになりました。2024年度の介護福祉士国家試験にもチャレンジし、無事に合格して、今は在留資格「介護」に変更して引き続き就労してくれています。
Q. 介護福祉士国家資格取得に向けて、どのような支援をしていますか。
鈴木:カルキさんに対しては、介護福祉士実務者研修などの費用面は会社でサポートしましたが、本人が国家試験合格を目標に計画的に学習を進めていましたので、日々の学習自体は本人主体で、会社は必要に応じた対応をしていました。今後の取り組みとしては、外国人職員の人数も増えたので、登録支援機関にオンラインの国家試験対策を実施してもらうなどを考えています。
プスパ:会社として学習計画を立てて進めていきたいというのはあるのですが、一方で各々の職員のレベルや学習スタイルもあるので、計画を作りこみすぎるのもどうなのかと思うところもあり、バランスが難しいと思っています。
今後の課題の一つだと思います。
Q. モチベーションの維持や定着のためにどのような取り組みをしていますか。
鈴木:日本語の勉強のモチベーションでは、(日本語能力試験)N1に合格をした職員から「合格したら何か貰えればモチベーションになる」という話がありました。この声を参考にして、N1やN2に合格したときや、介護福祉士に合格して在留資格「介護」に変わった時には、報奨金を支給する制度を作りました。
プスパ:年1回の社員総会でも、外国人職員たちの頑張りや技術を伝えており、それも自信やモチベーションに繋がっているのではないかと思います。
Q. 日本人職員や地域との交流の場はありますか?
鈴木:会社内にはサークルがあり、趣味の合うスタッフが集まって一緒に活動しています。あとは新人歓迎会を行ったり、プライベートでもスタッフと一緒に母国料理のレストランに行ったりするなど交流も多いようです。地域との交流では、フリーマーケットやお祭りなどのイベントがあります。また、グループのNPO法人が実施しているこども食堂で、外国人職員に店員として参加してもらい、積極的に交流の場を設けています。先日は、こども食堂で「インドネシアの日」として、来場者の方にナシゴレンを提供し、人口や宗教についてのクイズ、「ジャンケン」や「ペン入れ競争」の遊びをインドネシア人職員がアテンドしました。また、インドネシアがどんな国か、文化・動物・観光地などをまとめた「インドネシアを探検しよう」という資料をインドネシア人職員が作成し、来場者の方へ説明しインドネシアについて知っていただきました。これらの活動を通して地域との共生を実現したり、外国の文化などを広められればと考えています。
Q. これからの課題は何ですか?
鈴木:課題としては、まず定着が挙げられます。就労を開始してから国家試験に合格して、在留資格「介護」へ変更するまでの流れや、そこから先のキャリアアップも見せるようにしていますが、本人の意向もあるため、定着のための仕組みづくりを考えなければならないと思っています。あとは日本語の面ですね。介護は専門用語があるので難しいですが、外国人職員たちも目標をもって日本に来ています。ここは日本であり、利用者や家族は「介護」のプロフェッショナルとして外国人職員を見るため、仕事がある中で資格取得の勉強も大変かもしれませんが、日本語を勉強することは必要だと繰り返し伝えるようにしています。
Q. 今後、外国人職員にどのような期待をしていますか。
鈴木:会社の理念として「人生 楽しく 自分らしく」があります。この理念は、外国人も日本人も同じだと思っています。外国人職員は一人で日本に来て生活をしていますので、寂しい思いを抱えることがないように、生活面も含めて一緒に成長していきたいです。
プスパ:外国人職員には、今後管理者部門も目指してほしいですし、地域との交流の中心となってほしいです。また、母国では高齢・障害福祉の事業が足りないので、母国でそのような事業を築きたいという想いがある外国人職員もおり、会社としてもサポートしたいと思いますし、今後海外展開という部分でも外国人職員に役割を担ってほしいと期待しています。
外国人介護職員インタビュー
〈インタビューを受けてくださった方〉
国籍:ネパール
就労開始時期:2022年10月
2017年に留学生として来日し、2021年に特定技能1号へ変更
2024年度介護福祉士国家試験に合格
国籍:バングラデシュ
就労開始時期:2022年10月
2019年に留学生として来日し、2021年に特定技能1号へ変更
2024年10月よりフロアリーダーを務めている
Q. どうして介護の仕事をしようと思いましたか。
カルキ様(以下、敬称略):日本に来る前も介護の仕事は知っていました。日本に来て、日本の介護の質の高いサービスや、細かなケアを知りました。小さい頃から人の役に立ちたい気持ちがあったので、介護の仕事をしてみようと思いました。
ラトゥル様(以下、敬称略):バングラデシュにいたときは、介護のことを全然知りませんでした。私はイスラム教なので、人の世話をすることはとても大事で、それが仕事になるのはとても良いと思いました。
Q. 障害者支援には、どんなイメージがありましたか?
カルキ:障害者施設で働く前は、(障害というと)車いすなどを使う身体障害者のイメージがありました。障害者施設で働いてみて、精神障害や発達障害、知的障害など様々な種類があることを知りました。障害によって、生活介護や就労支援など、個人に合わせた様々な支援があることも知りました。障害がある若い方々が社会に出ることを支援することで、社会に貢献できると思いました。
ラトゥル:介護の仕事を始める前は、介護はおじいさんとおばあさん(に対して行うもの)のイメージがありました。最初に介護の仕事をした施設は、イメージと全く違う障害者の施設でした。一人暮らしができない人が困っていると知り、サポートする仕事ができたらいいと思いました。
Q. 仕事をしていて、嬉しいときを教えてください。
カルキ:利用者から感謝の気持ちを頂いたときや、利用者が心を開いてくれたと感じたときです。また、私たちが支援をして、できないことができるようになったところを見るととても嬉しいです。例えば、食事介助なども難しかったダウン症の方が、コミュニケーションを取ることによって、外出までできるようになりました。ゆっくりと声かけをすることを心がけていました。
ラトゥル:利用者の笑顔が見られたときは一番良いと思います。この施設で3年間働いているので、(顔を見て)利用者が満足していると分かると、とても嬉しいです。
Q. 仕事で難しいことや大変なことはありますか?
カルキ:障害のある方の行動やコミュニケーションのパターンは独特で、一人の利用者が不安になると他の利用者も不安になったり、他者との関係を築くことが難しい場合があったりします。その行動の背景や原因をきちんと理解して支援することが難しいです。感情表現が直接できない場合もあります。言葉で理解できないときは、言葉以外のジェスチャーや絵を用いて、分かりやすいように工夫しています。
Q.ラトゥルさん:フロアリーダーとして気を付けている点などを教えてください。
ラトゥル:2024年の10月にフロアリーダーになりました。現場の仕事以外にも、書類を作成したり、フロア会議に参加したり、職員の意見をまとめたりしています。ルールなど、決めたことをまずは自分が守らないといけないと思っているので、時間や決めたことを守るように気を付けています。職員の意見をまとめるというところでは、意見が通らなかった方は「自分の意見はなぜ役に立たないのか」という思いがあるかもしれません。私は介護には正解はないと思っているので、1つ1つ考え、(職員の)色々な意見を聞きながらまずやってみて、その結果を受けて必要に応じて(対応を)変更したりして、職員間で意見を統一することが大切だと思っています。
Q. ラトゥルさん:介護福祉士国家試に向けた勉強はどのようにしていますか。
ラトゥル:今は、介護の基本的なことをしっかり勉強して、過去問題を理解して似たような問題が出たときに答えられるようにしています。
また、週1回バングラデシュ人の先生が行っているオンライン授業を受けています。施設では週1回、介護や障害者について資料やビデオを使った研修があります。知らないこともあって、介護福祉士の国家試験に役に立つと思い、楽しみに受けています。
Q. カルキさん:介護福祉士国家試験の準備はいつからしていましたか。
カルキ:国家試験は、働いて2年目くらいから受けたいと考えていました。1年目は初任者研修を受けて、2年目には介護福祉士実務者研修を受けて、準備しました。研修や国家試験を受ける費用は会社がサポートしてくれました。
Q. カルキさん:介護福祉士実務者研修は難しかったですか。
カルキ:自分以外は全員日本人だったので、授業の進むスピードが速かったです。レポートや分からないことは、施設の職員が教えてくれました。
Q. カルキさん:その他に、介護福祉士国家試験に向けてどんな勉強をしましたか?
カルキ:過去問題を解いたり、YouTubeの動画や、テキストなどを使ったりして勉強しました。YouTubeの動画は一番役に立ちました。家のことをしながら聞き流すこともできます。障害者の施設で働いているので、「生活支援(技術)」は、難しかったです。知識が足りないと感じたときもありました。
Q. これからの目標や将来の夢を教えてください。
カルキ:ずっと日本に住みたいと思っているので、まず日本語のレベルを上げたいです。その後は介護のいろいろな研修を受け、より質の高い専門的な知識を学び、将来的にはサービス管理責任者やケアマネジャーを目指したいです。その方らしく生活できるようにサポートしたいです。
ラトゥル:(日本語能力試験)N2を受験する予定があるので、合格したいです。また、来年の介護福祉士の国家試験を受ける予定で、合格して日本に長く住むことが目標です。
(記事作成:国際厚生事業団 外国人介護人支援部)
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